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そのまま視線が重なると
まるで時が止まったみたいに息ができなくて
どくんどくんとうるさい心臓の音だけが鳴り響く。
熱のこもったシャンクスの瞳…
その瞳に見つめられるだけで
わけのわからない羞恥心が
じわじわと体を侵食していって
もどかしくて堪らない気持ちになる。
お願いだからそんなふうにわたしを見ないで…
しばらくしてはっと我に返ると慌てて顔を背けた。
シャ「A…？」
『シャンクスの言うとおりちょっと飲みすぎたみたい…酔い覚ましに外の空気吸ってくるね』
シャ「おいっ…ちょっと待て」
何か言いたげなシャンクスの声を無視して
逃げるように店を後にする。
わたしはシャンクスが時々見せるあの表情が苦手だ。
わたしを本気で落としにかかる時の
ぎらついた欲混じりの瞳…
目が合うだけで食べられちゃいそうで
あの時ばかりは
捕食者に狙われた獲物のような気分になる。
そのまま流されてしまいそうで怖くなる…
『危なかった…』
ふらつく足取りで外に出た後
店の前にある堤防に腰を下ろして
ふぅっと長い息を吐く。
肌を掠める冷たい風が
火照った体をゆっくりと冷ましてくれて
ざわついていた心もいくらか落ち着いた。
『また逃げちゃった…』
いつか答えを出さなきゃいけない。
頭の中では分かってるのに…
真剣なシャンクスの気持ちに
真剣に向き合えない自分に嫌気が差す。
あなたが嫌いだと
嘘をついてでも突き放せたらどんなに楽か…
シャ「そんな薄着だと風邪ひくぞ」
背中越しに聞こえたのは
泣きたくなるほど優しい声だった。
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作者名：Maaya | 作成日時：2023年3月26日 21時
