甘い誘惑【ONE PIECE】 (ページ23)

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『せっかくだから少し見てこようかな』

カ「ああ、そうしろ…おれはここで待ってる」

『うん…分かった』

・

お兄ちゃんに背を向けて来た道を戻りながら

ぼんやりとあの子のことを考えた。

人の命はみんな平等だけど

その命の価値は人それぞれ。

お兄ちゃんの立場になれば

あの子は部外者で裏切り者で

消すのは当たり前の存在だったはず。

けれど、わたしにとっては

唯一無二の大切な存在だった。

・

・

物心ついた時からわたしの周りには

家族か使用人しかいなかった。

話す相手も遊ぶ相手も兄弟だけ。

だからわたしには

友達と呼べる存在が一人もいなくて

憧れだった。

一緒にお菓子作りをしていたずらをして

くだらないことで笑い合えるそんな特別な存在が。

『はじめまして！わたしAって言うの』

コ「わたしはコリンヌ！よろしくね」

聞けば傘下の海賊団の生き残りで

引き取られて来たらしい。

コリンヌは同い年でよく笑う優しい子だった。

『コリンヌ、味見してみて！今日のチョコは完璧なはず』

コ「これ以上食べたらわたしの体がチョコになっちゃうよ」

『そうなったらコリンヌは甘くて美味しくなるね。どう？』

コ「んー！美味しい！Aはチョコ作りの天才だね」

『ありがとう。先に作っておいたドーナツにこのチョコを塗って…』

コ「またカタクリ様のところに持っていくの？」

『うん！お兄ちゃん喜んでくれるかな…』

コ「Aが作ったものならなんだって喜んでくれるよ」

『そうだといいな』