甘い誘惑【ONE PIECE】 (ページ17)

今日:1 hit、昨日:36 hit、合計:45,966 hit

17 ページ17

シャ「お前…やっぱり何かあったろ？」

ほんの少し低くなった声は明らかに疑念の声だった。

シャンクスのことだから大喜びして

抱き潰す勢いでくると思ったのに…

嘘の下手なわたしは上手な誤魔化し方がわからなくて

目の前の胸板に額をくっつけたまま

小さく首を横に振る。

シャ「…そうか」

シャンクスはそれ以上言葉を続けることはせず

ただわたしの願い通り

今までにないくらい強い力でわたしの体を抱きしめた。

身動きがとれないほどぴったりと重なる体。

かろうじて動かせた腕を彼の背中に回して

そっと瞼を閉じると

ひだまりの中にすっぽり収まってるみたいで

心地よかった。

もう会えないかもしれないし

最後くらい甘えてもいいよね。

・

・

それからしばらくして

二人の体温がすっかり同じ温度になった頃。

『わたし開店準備しなきゃ…』

シャ「ああ…お前から離れてくれよ。おれは一生このままでいい」

離れてくれなんて言いながら

腕の力を緩める気はないくせに。

むしろ逃げれるもんなら逃げてみろとでも言いたげに

わたしの腰をぐいっと自分の方に引き寄せて

さらに閉じ込めようとするシャンクス。

『…二日酔いに効く飲み物待ってきてあげるから』

シャ「いらねぇ…酔いなら覚めた」

『じゃあ、掃除でも手伝ってもらおうかな』

シャ「…いやぁ参った、頭も痛ぇし吐きそうだ。このままお前を抱いてたらよくなるんだがな」

また調子いいこと言って…

くすくす笑いながら

『なにそれ』

って聞けば

シャ「おれにとっての即効薬はお前だ」

って大真面目に返された。