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『いやだって言ったら?…プリンの結婚式ならわたしなんていなくていいじゃない』



カ「ママがお前に会いたがってる」



『…っ、…』






あの人のことだ…

きっと二年間も放置していた娘を

連れ戻したい理由ができたに違いない。



わたしの使い道なんてたかが知れてる。

政略結婚をする妹のように

プリンの次はわたしかもしれない。



そんなのいやだ…

あの人の道具になるのだけは絶対いや…






『カタクリお兄ちゃん…』



カ「どうした?」



『もしわたしが逃げたいって言ったら…あの時みたいに手伝ってくれる?』



カ「A…」







二年前、

大切な人を失って自暴自棄になっていたわたしを

逃がしてくれたのは

他でもないカタクリお兄ちゃんだった。



今にも壊れてしまいそうな妹を哀れに思い

同情心で手を貸してくれたのは知ってる。


だからもう一度だけ…






カ「悪いが今回ばかりは無理だ。会って話そう…」



『…そっか…分かった』






震える声で返事をしたわたしは

そのまま電伝虫を切った。



これで本当の終わりだ…

お兄ちゃんだけが頼りだったけど

もう最後の希望もなくなった。






そう思うと得体の知れない空虚感に襲われて

まるで胸にぽっかり穴が空いてしまったような

そんな感覚。





しばらくその場から動けず

ぼんやりしていると

カランカランっと軽快なベルの音が聞こえた。





こんな朝早くに訪ねてくる人物は一人しかいない。









『シャンクス…』



シャ「よぉ…朝から悪いな。水もらえるか?」






気だるげな声でそう言ったシャンクスの顔には

しっかり二日酔いですと書いてあって

近くの椅子に腰掛けながらテーブルに突っ伏す姿は

かなり辛そうに見える。





『無理して来なくていいのに…今からでも戻って寝てきたら?』



シャ「そう簡単に追い出してくれるなよ…お前に会いたかったんだ」





わたしを見つめながら

ふわりと笑ったシャンクスの

疲れた色気を纏ったようなその表情にどきっとした。

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作者名:Maaya | 作成日時:2023年3月26日 21時

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