第二十八話 罠 ページ31
羽ペンのカリカリという音と羊皮紙の擦れる音が耳に入る。
―――今は絶賛、試験中。
幼少から頭に叩き込まれてきた知識と、日頃から勉強していたおかげで僕は難無く全て簡単に解くことができた。
ビンズ先生が羽ペンを置いて羊皮紙を巻きなさいと言った瞬間、歓声が上がる。
これで試験終了だ。
「どうした？」
「……ずっと傷が疼くんだ」
試験が終わると同時に僕達は湖まで行って、木陰に寝転んだ。チラリと横を見ると、ハリーが傷を擦っていた。
「今までも時々こういうことはあったけど、こんなに続くのは初めてだ。きっと警告なんだ」
「校長がいる限り、石は無事だ。先生がフラッフィーを突破する方法を見つけたって証拠は無いしな」
ハリーは僕の言葉に頷いた。だけど、何か大変な事を忘れているような気がした。そう、何か僕達は忘れている。
突然、ハリーが立ち上がった。
｢すぐハグリッドに会いに行かなくちゃ！ハグリッドはドラゴンが欲しくてたまらなかった。でも、いきなり見ず知らずの人間が、たまたまドラゴンの卵をポケットに入れて現れる？｣
「……そういうことか！」
僕達は走って、ハグリッドの小屋へ向かう。
｢聞きたいことがあるんだけど、カードゲームの相手はどんな人だった？｣
｢マントを着たままだったしな。分からん｣
その返答に、僕達は唖然とした。
「その人とホグワーツの話とかした？」
そう言うと、フラッフィーに音楽を聞かせれば寝てしまうと言ったらしい。それを聞いた僕達は、急いで玄関ホールまで走る。
「ダンブルドアの所に行かなくちゃ。ハグリッドが怪しい奴にフラッフィーの手懐け方を教えてしまったって僕たちの事を信じてくれればいいけど｣
「……校長室ってどこにあるんだ？」
四人揃って辺りを見渡すもそれらしき部屋はない。そんな時、後ろからマクゴナガル先生の声がした。
何ともまあ、いいタイミングだ。
「ダンブルドア校長にお会いしたいのですが」
「ダンブルドア校長は、ロンドンに飛び発たれました」
どうやら、悪い方のタイミングだったか。
「実は先生、賢者の石の件なんです」
「どうしてそれを？」
説明すると、マグゴナガル先生は守りは安全だと言い、俺たちに外で遊ぶように言って行ってしまった。
……先生を頼るのは無理か。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1670人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空天 馬
| 作成日時：2016年6月11日 1時
