第二十七話 怪しき影 ページ30
｢どうしてあんなに怒っていたの？君は何から僕達を救ってくれたの？｣
長い沈黙の後、フィレンツェがハリーの問いを説明してくれた。
一角獣の血は命を長らえさせてくれる。しかし、純粋で無防備な生物を殺害するのだから得られる命は完全な命ではなく。
その血が唇に触れた瞬間から、その者は呪われた命を生きると言う。
｢永遠に呪われるんだったら、死んだ方がましだと思うけどね｣
｢そのとおり。しかし、他の何かを飲むまでの間だけで良いのだとしたら……決して死ぬことが無くなる何か。君達は学校に何が隠されているか知っていますか？｣
―――それは、賢者の石。
｢だけど、一体誰が？｣
｢力を取り戻す為に長い間待っていた者が誰か、思い浮かばないですか？｣
｢それじゃ、僕達が今見たのはヴォル―――｣
ハリーが例のあの人の名前を言おうとしたその時、向こうからハーマイオニーが駆けて来た。
「A！ハリー、大丈夫なの？」
「あぁ」
「大丈夫だよ」
それから談話室に戻り、眠っているロンを揺り起こし森であったことを話し始めた。
「フィレンツェは僕とAを助けてくれた。だけど、それは行けないことだったんだ。ベインが物凄く怒ってた。惑星はヴォルデモートが戻ってくると予言してたんだ。ヴォルデモートが僕を殺すなら、それをフィレンツェが止めるのはいけないってベインはそう思ったんだ」
熱に浮かされたようにハリーは言った。
｢頼むからその名前を言わないで！｣
続けてハリーが話し出すと、それを聞いたハーマイオニーが慰めるように言葉を掛けた。
「ハリー、ダンブルドアは例のあの人が唯一恐れる人だって、皆が言っているじゃない。ダンブルドアが傍にいる限り、例のあの人はあなたに指一本触れることは出来ないわ。それに、占いは魔法の中でも、とっても不正確な分野よ」
話しこんでいるうちに、空が白み始めていて話を切り上げる。柄にもなく、ベッドに入った時には全身の力が抜けていた。
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作者名：空天 馬
| 作成日時：2016年6月11日 1時
