検索窓
今日:23 hit、昨日:7 hit、合計:86,009 hit

七話 ページ7

「……そろそろ、満足しただろう。……帰るぞ、A」



いつの間にか日は傾き、空は微かに橙に染まりかけていた。


「え、あ、はい、あの、今日はありがとうございました!また……会えますか?」

「えーっと、それは承太郎さんに……」



困ったように笑う仗助は、恐る恐る承太郎の顔を覗き見る。

Aは振り向いて、両手を胸の前で組んで、゙お願い゙のポーズをとる。


承太郎はAを見下ろしてから、長い息を吐いた。


「……仗助達と、都合があえば会わせてやる」

「やった!じゃあ、また会いましょうね、東方君、広瀬君、虹村君!」


またねー!と別れを告げると、Aは承太郎の呼んだタクシーに乗り込んだ。




□■□■


タクシーの中では、小さくラジオから流れる音楽が心地よいBGMとなっていた。




「あの、ありがとうございました、空条君」


にこり、と、Aが笑むと共に、柔らかい金髪がさらりと揺れる。

随分髪が伸びた、そろそろ切る頃かもしれない、と、Aの緩みきった表情を横目でチラリと見てから、承太郎はその小さな頭に手を乗せた。


「ああ……疲れてるだろう?ホテルまで暫くある……休んでおけ」

「ううん、大丈夫です」


ふぅ、と、小さくため息をつくと、承太郎は、Aの頭を自分に引き寄せ、その顔に自分の帽子を被せた。


「わっ、」

「少し休んでろ。どうせすぐに帰るつもりじゃあねえ」

「何処かよるんですか?」


帽子でくぐもった声に、少しだけ表情を緩めると、Aの髪をすいた。



「ああ、少し、な」



表情とは裏腹に、承太郎の声は、少しばかり沈んでいた


八話→←六話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (164 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
230人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

金剛石 - 続き気になると思ったらめっちゃ前の作品かーい^_^ (9月14日 11時) (レス) @page26 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
無益(プロフ) - 続きみたいと思ってきたら7年前の作品かーい^^ (7月24日 23時) (レス) @page26 id: 21d8a5b4ec (このIDを非表示/違反報告)
じゃがりこの虜(プロフ) - 続き見たいと思ったら数年も前の作品かーい^_^ (2022年6月20日 21時) (レス) @page26 id: 9b1b149eae (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - 更新の希望あるかなってコメント見にきたら6年前の作品かーい^_^ (2022年6月5日 22時) (レス) @page26 id: 81e883109e (このIDを非表示/違反報告)
れい - 更新待ってます!! (2021年8月4日 23時) (レス) id: 231e6087c7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:東雲出雲 x他3人 | 作成日時:2016年5月6日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。