二十九話 ページ29
しゃ、と、カーテンを閉めて後ろを振り返れば、扉に背を預けたディオと目が合う。
「A。」
「ディオ?……どうかしたんですか?」
いきなりベッドに押し倒されれば、痛いくらいに肩を押さえつけられる。
「選べ。吸血鬼となって俺と、永遠を生きるか、それとも亡者となり永遠を生きるか…」
ディオの片手に握られているのは、ジョースター邸に飾られていた石仮面。
ひやりと背筋が冷え、一瞬で彼が何をしたいのかが理解できた。
「デ、ディオ……」
「A、選んでくれ。」
ギラギラと輝く赤い瞳が私の顔を写す。
なんて、酷い顔をしているのかと思えば、何て事はない、ただの無表情だった。
心では焦っても、表情はいたって無を写していた。
「わ、たしは…私は、人の道を踏み外した貴方も、好き。けど、っ…」
「……仕方無いか…」
ディオは一度だけ、悲しそうに瞳を揺らすと、私の首にその発達した犬歯を突き立てた。
「っ、ディオ、あっ…」
ぺろ、と、首筋に開いた穴から流れ出る血液を舐め上げると、扉の向こうから物凄い怒号が聞こえた。
ディオは吸血をやめ、Aの首から顔を上げて舌を打つ。
「……ジョジョめ……A、待っていろ。直ぐに迎えに来てやる。」
石仮面をベッドの上に放り投げ、つかつかと早足で扉へ向かっていく。
押さえつけられていた肩がぴりぴりと痺れるが、必死にディオを追った。
これを逃せば、ディオはもう_____
言い様の無い不安に心を押し潰されそうだ。
「ディオっ、待って、待ってッ!!」
伸ばした手は、ディオ服の裾すらも掴めずに、空を切る。
「………すまない。」
パタリ、と閉まった扉は、恐らく外から施錠されてしまった。
「ディオ………いや、死なないで…っディオ……」
ジョナサンに手紙を出したのは、わかり会えると思ったから。
私の思い付かない解決策を思い付いてくれると思ったから。
決して、戦わせるためじゃあない!
「ディオっ……」
友達を失いたくないの…!
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東雲出雲(プロフ) - 罠做さん» ありがとうございます!文章が素敵だなんて(*´ー`*)続編できましたので、そちらもどうぞ宜しくお願い致しますm(__)m (2015年8月18日 11時) (レス) id: 64e849f3b1 (このIDを非表示/違反報告)
東雲出雲(プロフ) - ランタンさん» ありがとうございます!続編ができたので、そちらもどうぞ宜しくお願い致しますm(__)m (2015年8月18日 11時) (レス) id: 64e849f3b1 (このIDを非表示/違反報告)
罠做(プロフ) - 続編楽しみにしてます!!文章が素敵で読み易かったです、続き気になりますねo(^▽^)o (2015年8月18日 2時) (レス) id: 1a112de355 (このIDを非表示/違反報告)
ランタン(プロフ) - この話とてもよかったです!続編も頑張ってください! (2015年8月17日 20時) (レス) id: 751d6d43a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:東雲出雲 | 作成日時:2015年8月15日 11時