愛さない結婚をあなたと (ページ40)

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啓side

正式な顔合わせはAが18歳になるまで待つことにした。

彼女にとっては望まない縁談だと分かっていた。

席に座った時から彼女の顔は曇っているように見えた。

その後は親交を深めるために月に１度食事に行ったり、映画を見に行ったりした。

でも彼女は俺におびえているように見えた。

こんなにも年上の男と急に婚約しても接し方も分からないだろう。

それに、彼女から見れば８つも年が上の俺はおじさんで恋愛対象にも入ってないのかもしれない。

だから言ってしまったんだ

「俺はお前を好きにならない」

その日の夜は和也に付き合ってもらった。

「馬鹿だなー

そんなんじゃ嫌われるよ？」

そう言ってケラケラと笑う。

「もう嫌われてるよきっと」

それから今まで大した進展もなく、手をつなぐことしかしてこなかった。

嫌われないように怖がられないように一定の距離を保ってきたつもりだ。

籍を入れた日の夜、Aが言ったことは忘れられない。

俺が彼女と一定の距離を保っていたのは俺が傷つくのが怖かっただけなのかもしれない。

その時やっぱり彼女は俺と結婚することを望んでいなかったんだと思い知った。