【派生】及ばぬ恋の滝登り4 (ページ48)

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陽一(はぁ…マジでイライラする…)

自室に戻り､陽一は棚の上に置いておいた箱を取り出す｡

カパッと蓋を開けると同時に漂い始めたトリュフの甘い香りに険しい顔をほぐされた後､陽一は1つ手に取って口に放り込む｡

陽一｢…やっぱ“兄貴”の見る目はすごいな｣

ボソッと呟くと同時に､いかにも高級そうな見た目をしている箱と宝石のようなトリュフを交互に見る｡

そのままトリュフを2､3個食べてから､先ほどまで大喧嘩していた義兄の顔を思い出す｡

彼は確かに守銭奴で戦闘力もボロボロだが､どこかに行った時は陽一にお土産を買ってきたり､仕事で不在の間でも連絡をまめに取ったりと､陽一のことを本当の妹のように気にかけてくれている｡

性格面の違いなどからいがみ合うことが多い2人だが､お互い本当の兄妹のように接していることもある｡

…この2人は､何だかんだ言いながら仲が良いなのかもしれない｡

そんな思考を振り払うように頭を振ると､陽一はトリュフを口にし続けた｡

甘いトリュフが口の中で溶けていくのを感じながら､少女は静かな昼下がりを1人で過ごしていたのだった｡
______

モグラ｢あのトリュフどうデシタ?｣

陽一｢何で食ったの知ってんだよ⁉︎｣

モグラ｢私の嗅覚ヲ舐めてもらっちゃあ困りマスヨ…で､感想ハ?｣

陽一｢…めちゃくちゃ美味しかった｣

モグラ｢あ〜ら素直で可愛い義妹だコトwwwまた買って来てあげますカラネ〜www｣

陽一(くっ…からかわれるのは悔しいけどマジで美味かったから何も言えねぇ…!)