【派生】及ばぬ恋の滝登り4 (ページ25)

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I’m a royal cat!〜父ver〜※猫化ありページ25

放課後の屋上で､白い制服を着た少女が水色の長髪を靡かせている｡

エヴリュディケ学園の中学部生徒会長､桃寺陽一は孤独な昼下がりを楽しんでいた｡

陽一(今日も良い天気だなぁ…)

そんなことを思っていると､不意に近くで何かの気配を感じた｡

気になった陽一はクルッと後ろを振り向くが､人間の影1つ見えない｡

陽一(…ドア､開いた音してなかったよな?)

ゆっくりと視線を戻すと､足元に黒い物体があることに気づく___見たことのない黒猫だ｡

その大きな外見から推測するに､成猫であることは間違いなさそうだ｡

陽一(どうしたら良いんだ…?)

困惑しながらも､陽一はベンチの方へと歩き出す｡すると､黒猫も立ち上がって陽一の後ろを追いかけ始めた｡

陽一｢…にしてもその顔､何か見覚えがあるな｣

ボソリと呟いた瞬間､心臓の動きがバクバクと鼓膜が破れそうなほどうるさく鳴り始める｡しばらくすると息が全くできなくなり､視界も徐々にチカチカしていく｡

陽一｢ｶﾊｯ‥｣(な､何だ…⁉︎急に…!)

必死になって堪えていると､陽一の目の前に巨大な異形の存在が現れた___黄衣の王､ハスターだ｡

ハスター｢人の子よ､その黒猫が何か分かるか?｣

喉を押さえて咳き込んでいた陽一は､ハスターに目をやらずに涙で滲んだ視界で黒猫の顔をとらえた｡猫の顔には､縫い傷のようなものがあった｡

___それを見た瞬間､陽一の目は一気に開いた｡同じような傷を持つ人物を1人知っていたからだ｡

陽一｢…ま､まさかこれって…!｣

ハスター｢案ずるな､猫はそのうち戻してやろう｣

彼女が何か言う前に､ハスターは目の前から姿を消した｡ヘルやルキノがいれば､罵倒したり呆れたりしていたことだろう｡

空気が思うように吸えるようになってきた頃､陽一は屈んで黒猫を抱き上げる｡

猫は怖がる気配を全く見せず､リラックスした状態でその身を預ける｡

陽一｢行こうか､“親父”｣

穏やかな声でそう言うと､相変わらず人気のない屋上のベンチへと向かった｡
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キリが良いのでネクスト!