50.「女の子にやらせちゃおうぜ」 ページ10
部屋の襖を開け、電気を点ける。
先ほど十四松から貰った泥だんごは、既に形が崩れかけていた。
「……壊せば、いいんだよね」
何か受け皿になるもの、と思いゴミ箱を下に置く。
すこし躊躇しながらも指先に力を込め、やがてぼろり、と音を立てながら静かに散っていった。
あの優しい十四松から貰った泥だんごをこんな風にして壊すというのはなかなか心に来たが、その気持ちもすぐに薄れていった。
中に、手紙が入っていたからだ。
カラ松がもらっていたものに酷似したそれを広げてみると、意外にもノートと同じくらいの大きさがあった。
そこには字がびっしりと書いてあって、下の方に男の人の絵と「ひじりさわ しょうのすけ」とかかれた落書きのようなものが書いてあった。
どうやら筆ペンのようなもので書いたらしい。字の太さが不規則に変わっている。
十四松のものとは思い難い、少しだけ丸みを帯びていて読みやすい字で書かれており、ああ、丁寧に書いたんだな、ということが見て取れた。
『Aへ
本当は言葉にしたいことがたくさんあるけれど、緊張して何も言えなくなっちゃうから、こうして字に纏めたよ。
まず、この前も言ったけれど、僕たちはみんな昔のことを後悔している。
みんなそれぞれにいろいろな形でAに歩み寄ろうとしているけれど、僕はそう簡単には僕たちが仲直りできるとは思ってないよ。
でもね、僕はAにみんなのことを許してほしいって思ってる。
許してほしいっていうよりも、仲直りしてほしい、かな。
特に、一松兄さん。
兄さんね、あんな怖い態度をとっているけど、本当は一番深く後悔をしているんだ。
一番最初に「やめよう」って言ったのは兄さんなんだ。
でも、それをみんなに否定され続けて、否定されないようにしているうちに、ああなっちゃったんだ。
それはAのせいじゃないし、むしろぼくらのせいだよ。だから、気負わないでね。
僕はその時、声を出す勇気がなかったから、一松兄さんとAの味方をしてあげれなかった。
それが、僕の人生最大の後悔。
何が言いたいかっていうと、一松兄さんのことを許してほしいんだ。
自分から歩み寄ることは大変なことだと思う。
でも、時には自分から歩み寄らないとならない時もある。
それを知ってるからこそ、あえてここに書くね。
僕は、Aがみんなと仲直りして、7人揃って笑いあえる日が来ることを祈ってます。
十四松』
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紫垣(プロフ) - 続きが待ち遠しい!!……もっと見つけるのが早かったらまだ更新続いてたのかな( ; ; ) (4月18日 5時) (レス) @page21 id: f62f374630 (このIDを非表示/違反報告)
燎_*(プロフ) - 更新停止……だと!?!?!?誰か、!!この作者を呼び戻してこい!!! (1月17日 3時) (レス) @page21 id: 4b8e8fd2cd (このIDを非表示/違反報告)
低浮上な塩なんだなあ(プロフ) - つ、続きは…続きは何処ですか…!?!?(血涙)更新をずっと楽しみに待っております…… (10月30日 2時) (レス) @page21 id: 6cf2860157 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ - この作品が大好きです。更新待ってます! (6月4日 22時) (レス) @page21 id: 395eb4f5e7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらっち(プロフ) - 何年でも更新を待ちます。 (2022年5月15日 0時) (レス) @page21 id: ab3ad11547 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:竹ノ狐。 | 作成日時:2016年1月17日 17時