58.「ひとりきり」 ページ19
「なあ、十四松。A見てない？」
おひるさがり。
Aのいない、おひるさがり。
俺たちはちゃんと全員いるのに、Aはいないおひるさがり。
「さっきお散歩いくっていってたよ！……あ、ほら！帰ってきた！！」
先ほど聞いたことをおそ松兄さんに伝えると、ガラガラと戸の開く音と、閉まる音が聞こえてきた。
兄弟はみんなここにいるので、きっとAだろう。
「おかえりAー！！……ってあれぇ？？！おそ松兄さん、Aがいないよ！？」
だれも、いない。
なんの音もしなければ、影ひとつ見えやしなかった。
不審に思ってAの部屋を覗いてみると、馬の被り物が乱雑に投げ捨てられている以外は至って普通の部屋であり、Aの姿は何一つ見当たらなかった。
「っ…！一松兄さん、Aが消えちゃった！！」
そこからはみんな必死になってAの姿を探して回った。
僕は公園。
カラ松兄さんは病院の方面。
チョロ松兄さんは納屋の中。
トド松はリビングと、散歩のコース。
そして、一松兄さんとおそ松兄さんは家のまわり。
みんながみんな一緒になって探したのに、Aはどこにも居なかったし、出てきてもくれなかった。
「……どこいったんだよあいつ、もう8時だっていうのに。」
結局、そのままだらだらと時は流れて、食事も風呂も済ませて布団を敷き、寝る準備が整った後に緊急兄弟会議が開かれた。
無論、喉には何も通らなかったのだけれど。
「うーん……。僕たちのこと、相当嫌いだったのかな。……あ、そうだ。メールで聞いてみるのはどう？」
ふと、チョロ松兄さんが打開策を見つけ出し、一同は失念していた、というような唸り声を上げて、それぞれがAの連絡先にメッセージを送りつけていた。
その中で、僕はあえて全く別の人物へと問いかける。
ひとりめ、ふたりめ、さんにんめ、よにんめ、ごにんめ、ろくにんめ。
みんながみんな「しらない」って言って、ひとりは知ってるような素振りをみせて、詳しいことはわからなかった。
だけれど、ろくにんめの人はしっかりと場所を教えてくれた。
「そいつなら今、ここにいるけど」
その言葉をみて、思わず僕は駈け出す。
それにつられて、隣にいたチョロ松兄さんが反射的に走り出し、僕と同じくらいの速さでついてきた。
いや、逆に僕に合わせてるのかもしれない。
「Aね、_____に居るって！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3805人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紫垣(プロフ) - 続きが待ち遠しい！！……もっと見つけるのが早かったらまだ更新続いてたのかな（ ; ; ） (4月18日 5時) (
レス) @page21 id: f62f374630 (このIDを非表示/違反報告)
燎_＊(プロフ) - 更新停止……だと！？！？！？誰か、！！この作者を呼び戻してこい！！！ (1月17日 3時) (レス) @page21 id: 4b8e8fd2cd (このIDを非表示/違反報告)
低浮上な塩なんだなあ(プロフ) - つ、続きは…続きは何処ですか…!?!?(血涙)更新をずっと楽しみに待っております…… (10月30日 2時) (レス) @page21 id: 6cf2860157 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ - この作品が大好きです。更新待ってます！ (6月4日 22時) (レス) @page21 id: 395eb4f5e7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらっち(プロフ) - 何年でも更新を待ちます。 (2022年5月15日 0時) (レス) @page21 id: ab3ad11547 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：竹ノ狐。 | 作成日時：2016年1月17日 17時
