39.「また明日」 ページ40
「……あれ、十四松…？」
玄関の引き戸を開けると、いつもはそこにあるはずのスリッパとサンダルが無かった。
それはつまり十四松と他の誰かが外へ出かけていることとなる。
何故十四松だと分かったのかというと、先日家を飛び出した時に十四松がスリッパを履いていたからだ。
それまで何故スリッパが玄関にあるのかが疑問だったのだが、全てに合点がいった瞬間だった。
「……と、どまつ」
居間ではトド松がテレビを見ながら退屈そうに携帯をいじっていた。
私の声に気が付いたのか、トド松が私の方を向いて嬉しそうに微笑んだ。
「…おかえんなさい、Aっ！…あ、ねぇねぇ、カラ松兄さん知らない？」
「……病院に連れてった。……、精密検査してるよ。」
やっぱりどうしてもぎこちなくなってしまう。
本当はみんなの期待に応えたいのに。
「そっか。何もないといいけど…。……、……あのさ、A。………流石に、やりすぎたよね、僕たち。」
声色を沈めて、トド松はそんなことを呟いた。
……主治医の中ではお前ら鬼松たち全員が、様々なタイプの花瓶を落としたっていうことになってるけれど。
もっと言えば、突拍子もなくどこか知らない人の家から多種多様な花瓶が落ちてきたっていうことになっているのだけれど。
「……そうだね。あとでカラ松に謝っときなよ」
「……あ、いやそっちじゃなくて……、…なんでもない。また今度、聞いてもらってもいい？」
もの悲しそうな顔をしながらトド松はそういった。
話の切り出し方が昨日のカラ松になんとなく似ていると思ったのだが、どうなのだろうか。
トド松も、私のことを許してくれるのだろうか。
それとも、また酷い仕打ちをするつもりなのだろうか。
十四松の言っていた言葉の通りなら、前者で間違いないのだろう。
だけれど、まだ心の奥底では信じきれない何かが、私の中で渦巻いていた。
「……時間があれば、聞く。」
だから、そう言うので精一杯だった。
重たい足取りで階段を昇り、部屋へと戻った。
そしてベッドへ飛び込み、つかの間の昼寝を試みた。
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kuu - これいちいち歌の歌詞になってますね、 (2022年1月1日 12時) (
レス) @page38 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
kuu - 面白いです、これからシリアスだったり恋愛がある、が楽しみです (2022年1月1日 10時) (レス) @page1 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 最高すぎます (2020年9月24日 2時) (レス) id: e43e7b87c6 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE！(心々) - なるべく早く更新してくださいっ……！……お願いです………………本当に楽しみすぎるのですよっ！！ (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE！(心々) - なんでこんなに文才があるのですか？？これは絶対ず〜っと！過去最高1位ですねっ！！(納得です♪)どんな小説の中でも1番好きですっ！(本当に) 星なんかいも押したいけど、前も押したからムリだ……… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：竹ノ狐。 | 作成日時：2015年11月26日 1時
