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19.「魚に愛を」 ページ21

「ただいまー!!!!」



真っ暗な玄関に、十四松の声が木霊した。

いつからこんなうるさいやつになったんだ。

……そういや昔は影が薄いってよく言われてたよなあ。そのせいでもあるのかな。


十四松たちだって、頑張ってるんだな。



「……、寝ちゃったんじゃない?いいじゃん、寝かせておこうよ。」


「えー?!でもでも!!Aを探しに行ったと思うんだ!!!……あー!!けーたい!!」



そう言いながら十四松はスマフォを取り出して、超高速で文字盤を叩き始めた。


早い、早いぞこいつ。

中毒並みに早いぞ。



「ただいまー…ありゃ?十四松にA、帰ってたの?風邪とか引いてない?」


十四松がスマフォと対峙している最中に、おそ松が引き戸を開けた。

外から風が吹き付けてきて、それはまるで一松の言葉のように鋭く冷たい。


「うん!!あっ、俺みんなのお迎え行ってくるね!!」


LIENで迎えに行く話になったのか、十四松はスマフォをポッケに入れてどこかへ走っていった。


私とおそ松の間に、静かに時間が流れる。


その静かな沈黙が気まずくて、やりかけの洗い物がどうなったか見にいこうとすると、おそ松に引き止められるかのように声をかけられた。


「残りの洗い物ならチョロ松がやったよ。……十四松さ、Aが出て行ったとき、真っ先に出て行ってAを追いかけてったんだぜ。俺とカラ松とトド松はそのあとを追ってったんだけど、あいつ速すぎて見失っちまったんだよな!……、一松、本当はあんなこと思ってなんか無いと思うんだよな。…素直になれないっていうか、そんな感じ。」



チョロ松が洗い物をしたなら少しは安心できる。

おそ松とかがやったら大変なことになりそうで逆に不安になる。


一松、あの人の言葉が胸に突き刺さったまま、まだ抜けない。


「……、そう。本当にそうならいいのにね。」



なんとなくそう流して、階段へ向かった。



もし本当なら、私と似てるかもしれないのにね。


言いたいことも言えないで、認めるべきことを認められない可愛くない奴。

もし一松がこれを聞いたら、めちゃくちゃに怒るかもしれない。


「……、俺は嘘なんか吐いてないし。…本心、だし。」


台所の方から、そんな声が聞こえた気がした。

20.「静寂と孤独」→←18.「おそまつさんでした」



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kuu - これいちいち歌の歌詞になってますね、 (2022年1月1日 12時) (レス) @page38 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
kuu - 面白いです、これからシリアスだったり恋愛がある、が楽しみです (2022年1月1日 10時) (レス) @page1 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 最高すぎます (2020年9月24日 2時) (レス) id: e43e7b87c6 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なるべく早く更新してくださいっ……!……お願いです………………本当に楽しみすぎるのですよっ!! (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なんでこんなに文才があるのですか??これは絶対ず〜っと!過去最高1位ですねっ!!(納得です♪)どんな小説の中でも1番好きですっ!(本当に) 星なんかいも押したいけど、前も押したからムリだ……… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:竹ノ狐。 | 作成日時:2015年11月26日 1時

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