1.「はなまるもらった小三生」 ページ2
今日、私ははなまるをもらった。
算数のテストで、満点を取ったのだ。
…今日は親になんといったら褒めてもらえるだろう。
少なくとも、兄たちがいるときに言っても邪魔をされるだけだろう。
「僕のおやつは?」「お前今食べてたろ?」「あっ!それ僕のおやつじゃない?!」「違うよ俺のおやつだい!」…。
私の声も自己主張も、全部あの6人に掻き消されてしまう。
一回でいいから、ちゃんと褒めてもらいたいな。
「ただいま!!」
私はいつも聞こえてくる兄たちの声を叩き潰すかのように声を張った。
だが、今日は何も聞こえてこなかった。
多分、友達とやらと遊んでるか、6人で遊んでるかのどちらかなのだろう。
「あら、おかえりA。おやつ、あるわよ」
靴を脱いで、きちんと揃えたときにお母さんが台所から出てきた。
今日はりんごだろうか。甘いりんごの匂いがする。
「ママ!ただいま帰りました!…みてみて、今日ね、算数のテストではなまるもらったの!」
兄たちが居ないのはチャンスだと思い、すかさず傷一つ付いていないお気に入りのランドセルから数学のテストを取り出してお母さんへ突き出した。
するとお母さんは笑顔で私を褒め称えた。
「あら!すごいじゃないA!こんなに大きなはなまるもらって〜っ!おそ松ちゃんたちはAくらいのころには丸も貰えてなかったのに!偉いわね〜!」
お母さんは優しい。
私のことを純粋に褒めてくれるし、優しくしてくれる。
ただ、兄たちに気を取られてばっかで私にまで気が回ってないのが少し寂しい。
「えへへ!次のテストも頑張るね!」
わたし、いい子なんだよね。
はなまるをもらえてた小学三年生のころの、ところどころ黒く塗りつぶされた記憶。
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kuu - これいちいち歌の歌詞になってますね、 (2022年1月1日 12時) (レス) @page38 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
kuu - 面白いです、これからシリアスだったり恋愛がある、が楽しみです (2022年1月1日 10時) (レス) @page1 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 最高すぎます (2020年9月24日 2時) (レス) id: e43e7b87c6 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なるべく早く更新してくださいっ……!……お願いです………………本当に楽しみすぎるのですよっ!! (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なんでこんなに文才があるのですか??これは絶対ず〜っと!過去最高1位ですねっ!!(納得です♪)どんな小説の中でも1番好きですっ!(本当に) 星なんかいも押したいけど、前も押したからムリだ……… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:竹ノ狐。 | 作成日時:2015年11月26日 1時