10.「買い物」 ページ13
パーカーの下にヒートテックを着て、マフラーを着け財布を手に外を出た。
もうこんなにも寒いものか。
まだ暦上は秋なのに、季節は先取りが好きらしい。
夕方5時を過ぎた頃には、すっかり暗くなっていて寒さも拍車をかけたかのように厳しくなる。
はやく家に帰っておしくらまんじゅうでもしたいものだ。
「…んーと、たしかちーかまとポテチとビーフジャーキー…。……チューハイ??酒じゃんか、つまみの調達させられてんのかいっ!!」
家を出る前にチョロ松兄さんから貰ったメモ用紙に書かれた単語。
最後の一行には「チューハイ4本と缶ジュース3本」とかかれており、この買い出しは酒と肴の調達であるということがうかがえる。
「…あ、着いた。……にしても随分と懐かしいスーパーだなぁ。昔カラ松兄さんによく駄菓子奢らされたっけなぁ。兄さん、財布の中身すっからかんだったし。」
物思いに耽りながらも店内へ足を運ばせる。
丁度夕飯の支度のために買い物に来ているのか、客がたくさんいた。
セールスやってないかな。
「えっと、ちーかまとポテチ……あったあった、で、ビーフジャーキー……どっちのにしよう。……どっちも買っとこ。」
流石に初っ端から缶のお酒を4本もいれて店内を彷徨く勇気は無かったので、先にお菓子を入れてからジュースを選別し、酒缶をカゴに入れた。
「こちら10点で1654円になります」
美人の店員さんの声がした。
めちゃくちゃ綺麗だ。
「カードで」
表示された金額をみて、所持金の確認を一切せずクレカを取り出すあたり俺もあいつらと同等のクズということなのだろうか。
安心してください、俺の悪い癖なんですよ。
「かしこまりました。……カードのお返しです。レシートはご利用になられますか?」
「あーいいです、あざす。」
そしてカードで買い物をしたら本来ならレシートを貰っておいて、後にどれくらい使ったかを確認できるようにしておくものだろう。
しかし、俺は決してそんなことはしない。
何故なら、それも俺の悪い癖だからだ。
治す気は毛頭ない。
「あー重いなァ。……、さ、腹減ったし帰ろ。」
星が輝き始めた夜空の下で、ビニール袋を手に一人で家に帰る俺はかなり寂しい奴かもしれない。
でもまあ、それもあと30分の辛抱だ。
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くもの巣 - テンション高尾wwwwすばらしいwwww (2016年3月11日 20時) (レス) id: b8ecd8eab1 (このIDを非表示/違反報告)
松竹梅 - とても面白いです!!更新更新頑張ってください!応援してます!!! (2015年12月28日 13時) (レス) id: 2e028300d7 (このIDを非表示/違反報告)
四里緋。(プロフ) - エンドさん» そうだったんですか!そうとは知らず載せてしまいました!!教えてくださりありがとうございます、消しておきますね!! (2015年11月25日 7時) (レス) id: cdc15d1d82 (このIDを非表示/違反報告)
エンド - Twitterのアカウントの載せるのは違反ですよ (2015年11月25日 0時) (レス) id: db4e39ba66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:竹ノ狐。 | 作成日時:2015年11月17日 21時