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4.得意不得意得手不得手 ページ5

4.得意不得意得手不得手

店内はとても落ち着いた雰囲気だ。

綺麗で珈琲のいい香りがする。


……もっとも、私は黒珈琲が苦手なのだが。


「ほら、座って座って。何か食べたいものある?」


そういってわたしに座るよう促し、メニューを手に取らせる太宰さん。
そうして席につきにこにこと微笑んだ。


「………、…………。………、あの、太宰さん」


「ん?どうしたのAちゃん」



「………、あの、そんなに見られると恥ずかしいのですが…」


にこにこと微笑んだまま、こちらをじっと見つめてくる。

それがどことなく気恥ずかしくて、メニューで顔を隠しながらそういえば、微笑んだまま「全くもってかわいいなあ」と声を漏らされた。

……別に、可愛くはないと思いますが。



「君とここに来るのは初めてだからね、なんだかとても楽しくて」


「………私なんかとここへ来るのがそんなに楽しいですか…?」


「うん、それはもちろん。だって君みたいな美女はなかなかいないからね」


世辞でも、美女と言われて喜ばない人はきっといない。

いや、いるのかもしれないがわたしは喜ばずにはいられなかった。


……出来損ないでも、褒めてくれるのですか。


何も出来なかったとしてもそうやって褒めてくれるというのが嬉しくて、メニューに顔をうずめた。

プラスチックのような香りがすこしした。



「……ありゃ、照れちゃった?ふふ、それで、何を頼むんだい?」


「……あ、えと、それじゃあ焼き菓子をお願いします……」



甘い匂いと苦い香りが、少しずつ混ざっていくような気がした。

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作者名:竹ノ狐。 | 作成日時:2017年3月13日 1時

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