【刀剣乱舞】おうちに、かえして。 (ページ9)

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8.「夢、そうらえども」ページ9

【刀剣乱舞】おうちへ、かえして。【鶴丸国永】

「Aさま、今日の朝餉はみんなで食べましょう」

不意に、審神者の声が部屋に響いた。

それはつまり、刀剣男士たちとの馴れ合いをしろと、そういっているようなものであった。

「………、その場にいるだけでいいんです！その、みんなの話を聞き流すというか、いっそ普通にぼーっとしてていいですから！ご、ご飯のときだけでも！」

必死そうに言葉をまくし立て、Aを立たせようと引っ張る。

しかし頑なにそれを拒むAは腕を振ってじたばたと暴れだす。

その姿にどうしたものか、と審神者がため息をついていれば、ふと襖がすぱん、と開け放たれた。

「………っ！！」

「邪魔するぞ。……A、朝餉が出来たぞ。冷めぬうちに頂こうではないか」

そこには、本丸の母と称される燭台切光忠によって結成されたA回収隊、一期と三日月と鶴丸が居た。

何かと絡みが多いと燭台切から認識されたのだろう、その役目を担うこととなった三振り。
Aに真っ先に声をかけたのは、三日月であった。

「今日は遠征から帰ってきた人たちもいるので、賑やかになりますな。さあA殿、立ち上がってください」

一期がそう言葉を繋げれば、Aはほんの少し怯えたようにして三振りの方に顔を向ける。
どんな目をしているのかは、誰にもわからなかった。

「あ、そういえば俺の上着、貸したまんまだったな。暑くはなかったか？」

鶴丸はさりげなく上着を脱がそうとするのだが、Aは何故かそれを嫌がる。
その理由も、鶴丸には分からなかった。

しかし、すぐに自分から上着を脱衣し、鶴丸へと返した。

「……ああ、なんかすまんな。さ、周りがうるさいかもしれんが自己紹介の一つでもしてみたらどうだ？」

そう優しく諭すように言ってやれば、暫く考えたようにしてからもぞもぞと布団から足を出した。

そうしてゆっくりゆっくりと立ち上がって、三振りと審神者の方を見た。
Aの身なりをみた審神者は慌ててAの着ていた装束の乱れを正す。

「……これでよし！ささ、行きましょうっ」

そういって、半ば無理やりAの手をとり、みんなで廊下へ出る。

久しぶりに踏む冷たく硬い感触に、Aは思わず足を引っ込めたが、ちょんちょん、と廊下の板を足先でつつくけば、また歩き出した。

外は、初夏に相応しい快晴であった。