【刀剣乱舞】おうちに、かえして。 (ページ7)

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6.「驚け、白鶴よ。」ページ7

「……なまえ、」

ふと、Aが思い出したかのように言葉を吐き出した。

そのことに一期と三日月は驚き、鶴丸は不思議そうな顔をして「ん？」と相槌を打つ。

「なまえ、A。……しろ、なまえ」

何故だかは分からぬが、Aは自ら名を名乗った。

そうして鶴丸の気配のするところを向き、名乗るように促した。

「……驚いたな。俺は鶴丸国永、名前の通りに真っ白って、目隠しを施しているのに見えるわけないよな……、……！！」

白い鶴は驚きながらAの目元を見張った。

目は漆黒と言っても過言ではないほどに黒く染まった布で覆われており、この部屋に月光以外に灯火はない。

つまり、鶴丸をはじめ、一期の姿も、三日月の姿も見えるはずが無かったのだ。

それなのにAは「しろ」と鶴丸のことを例えた。

ああ、不思議な刀だ。

「……っ、ああ、こりゃあ驚いた。冗談抜きでな！」

鶴丸は必死に笑ってみせるが、内心は少しずつ焦りと好奇心で埋まっていく。

「……、さて。そろそろ弟達を寝かしつけなければ。鶴丸殿に三日月殿、A殿を頼みますよ。」

「……ああ、そういえば俺も石切丸と用事があったな。鶴、しばらくの間頼んだぞ。」

そういって元いた二振りはあっさりと退室してしまい、鶴丸とAの間に、微妙な空気が漂った。

Aはいつの間にか放心状態に陥ったらしく、どこか遠くの方を見つめるようにして、ぼうっとしていた。