□50.饒舌なお説教 ページ10
***
｢…〜…っ…近い…！…離して…//｣
直輝｢…あ…、ごめん。｣
…この近さはまずい。
あの時のことを鮮明に思い出してしまう。
真っ赤になった顔を見られないように両手で隠しながら、
近すぎる距離感に抗議を申し立てると、
直輝はﾊｯと気づいたように手を離してくれた。
.
.
｢…怒ってる…？｣
直輝｢…うん。｣
｢なんで、｣
直輝｢なんでだと思う？｣
.
うーん…、と考え込んでしまった私を見て、
はあ、と大きなため息をついた直輝。
.
直輝｢Aは自分がお酒に酔うとどうなるのかとか、
自分がどんな種類のお酒に弱いとか、
何がどれくらい強いお酒なのかとか、
そういうのちゃんと分かってる？｣
｢…｣
直輝｢普段飲まないうえに、
そういう知識もなしに闇雲に飲んだって、
体にいいことなんか一つもないよ。
それに、短時間でたくさんのお酒を飲んだりしたら、
急性アルコール中毒になる可能性もある。
特にAは弱いんだから、
ちょっとの量でも気をつけなきゃなんないのに…、｣
｢…ご…、ごめんなさい…！｣
直輝｢自分の飲み方が分からないまま
手当り次第お酒に手出すとかありえないから。
…それが守れないなら今後Aはお酒飲んじゃダメ。｣
.
フイッとそっぽを向かれて、
彼がかなり怒っているのが身に染みて分かった。
…でも、それと同時に、
口調と目付きで本当に私のことを
心配してくれていたんだなっていうのもよく分かった。
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年2月14日 23時
