□66.告白を止める権利 ページ28
***
この子は多分知らない。
彼に、利用するためとはいえ、
現在付き合っている人がいるということを。
.
言うべきだろうか…、
でもそうなると、レンの気持ちはどうなる…？
せっかく前向きになれそうな時なのに。
彼女のこの真っ直ぐな思いを、
私は止めてもいいのだろうか。
.
｢……あの、さ、レン、｣
レン｢？｣
｢えっと…、｣
レン｢…あっ、あ、ごめんね！ちょっと電話が｣
｢…あ、うん、いいよいいよ、出て。｣
.
伝えるべきか、
伝えるならどう伝えるべきかを考えていたら
レンの電話が鳴って、彼女は一度店の外に出てしまった。
.
やっぱり、彼女がいるということは伝えるべきだよね…。
いずれ知った時に傷つくのはレンだし。
でも、直輝はあずささんのことが好きなわけではないし、
レンの告白自体を止める権利、私にあるのかな…。
.
.
レン｢ごめんなさい、急にシフトが早まっちゃって…、
今日はもうお店に戻らなきゃ。｣
｢…そっか、じゃあまた今度ね。｣
レン｢さっき、Aちゃん、何か言おうとしてたよね…？｣
｢……あ…、んーん、なんでもない！
バイト頑張ってね！｣
レン｢…うん、ありがとう、またね。｣
.
レンは少し不思議そうな顔をしたけど、
すぐにまた笑顔に戻って、
自分の分のお金をテーブルに置くとそのままバイトに向かった。
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年2月14日 23時
