□58.Your holic ページ20
***
行ってしまった彼の背中と、
ﾊﾟﾀﾝ、と閉まったドアを見てまた寂しくなる。
直輝がいなくなった1秒後には
既に直輝に会いたくなってしまうなんて、まるで中毒だ。
どんだけ重症なんだ、自分。
.
…最近は結構いい感じに直輝とも接してたのに。
さっきのことでまた微妙に距離が
出来てしまったのではないかと怖くなる。
彼はわたしの事なんでも分かってるのに、
私は何も彼のことを理解できていない気がして凹む。
.
なんで怒ったんだろう…。
こんなことばかり続けていたら
いつか本当に捨てられてしまうかもしれない。
そうなったら…、どうしよう…。
.
｢…ダメだダメだ、切り替えて自分の仕事しよう…！｣
.
せっかく与えられた役に立てるチャンスだ。
川田レンの情報を掴むためにも、
彼女に近づかなければ。
善は急げ。さっそく今日から動こう。
.
.
Aラインの黒いワンピースに
革製のピンクベージュのショルダーバッグと
ショート丈のブーツを合わせて少し大人っぽく。
髪の毛はアップにしてまとめて
後れ毛だけ軽く巻いた。
いつもより少し濃い色のリップを塗って
自分に気合いを入れる。
やっぱり女の子って
リップ塗るとちょっとテンション上がると思うんだ。
.
｢…よし、行こう。｣
.
直輝に言われた通り
戸締りはしっかり確認してから家を出た。
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年2月14日 23時
