【d!】中縹が聞いたモノとは。

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ut side



無能故の悩みがあるように、有能故の悩みがあることを俺は理解していた。

俺は無能故、家族から嫌われて悩んでいた。

Aは何もかも認めざるを得ない環境で一人で悩んでいた。


無能も有能も同じなのだ。
紙一重、とでも称しておくか。

無能がバカ、有能が天才。

バカと天才は紙一重、ならぬ無能と有能は紙一重。
素晴らしい。我ながらそう思う。



Aの家の前に着くと誰もおらず、静かに家の中の電気がついている。

中に入ったのか、とドアを開けた。

玄関はいい匂いがする、おばあちゃん家という感覚だ。

リビングに入ると、先程とは明らか違う、墓場や葬式のような匂いが鼻をくすぐった。

嫌いな人からすると異臭、と呼ばれるのだろう。



ps「あ、おかえり。

すごいねここの家。」

少し苦笑いしながら言った。

見渡すとシンプル、最低限のものしか置いていない。

祖母と住んでいたと言っていたが、何年前なのだろう。

それとも、祖母がシンプルにしたのか。


ps「Aは上で寝てる。泣き疲れちゃったみたい。

...泣かせちゃった。」


あの日のようにペ神は俯く。

怖がらせちゃった、と落ち込んだあの日のように。

ut「ええんよ、吐き出せたんやから」


そう言ってペ神の肩をぽんと叩いた。

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