□04.夢が終われば現実を ページ4
***
朝起きたら、昨夜隣にいたはずの
直輝の姿はどこにもなくて、
もしかして全部夢だったのかなと思ってしまうほど。
.
.
＿＿＿＿＿＿Aへ、
大学に行ってきます。
調子が悪いなら家でゆっくり休むこと。
夜は外で食べてくるので適当に。
テーブルに置かれているメモを見つけて、
そこに書かれている優しい彼の言葉に
少しほっこりする。
夜は外で食べてくる…、
って誰とだろう…、と思いを巡らせて
あぁ…、あずささんか。ってすぐに納得。
.
あずささん、とは、
彼の今付き合っている彼女さんのこと。
直輝と並んでも見劣りしないくらい美人で、
仕事熱心な素敵な人。
.
始め彼が彼女と一緒にいるところを見た時は
心臓が止まるかと思った。
なんて言えばいいか分からなくて
呆然としている私を見て、
“こちら、佐島あずささん”
“付き合ってる”
なんて、淡々と。
いつもと変わらない、
残酷なくらい綺麗な笑顔で。
.
ああ、そうだ、そうだった。
この人は、私のことなんて
なんとも思っていなくて、
いつも私に優しく接してくれるのも、
恋愛的な意味は全くないんだ。
彼は、たまにそういう現実を私に突きつけてくる。
.
これで落ち込む自分が嫌いだ。
それでもいいから彼と一緒にいたいと
願ったのは私の方なのに。
.
｢……あれ、｣
***
□05.「かわいい」→←■03.Good night kitty
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年1月21日 0時
