□29.ミトレル ページ29
***
なんとかオムライスを作り終えて、
お皿を2つ彼の部屋まで運ぶ。
.
直輝｢美味しそう。｣
｢綺麗にできた方直輝にあげる。｣
直輝｢ありがとう、いただきます。｣
｢めしあがれ。｣
.
口に合うかな…、って心配になって
スプーンでひとくち卵とチキンライスを
すくう直輝をじっと見つめる。
.
直輝｢…見すぎ、笑｣
｢…あっ、ごめん、感想が気になって。…どう？｣
直輝｢うん、美味しい。｣
｢良かった〜…！｣
.
パクパクと美味しそうに食べてくれるのが嬉しくて、
ついつい見蕩れてしまう。
.
直輝｢……ん。｣
｢…？｣
直輝｢Aも食べなよ。ほら、｣
｢…えっ、｣
直輝｢あーん｣
.
当たり前のように自分の使っていたスプーンに
オムライスを一口すくって私に差し出してくる直輝。
どうやら食べろということらしい。
…えっ、これ、間接キスですけど。
そのへん分かってます…？
って、一人で混乱しちゃうけど、
ここで食べないのも
意識し過ぎてるやつみたいになるよね…。
.
直輝｢A？｣
｢…わっ、分かってる…！｣
.
意識するな意識するなと思うほど
心臓はﾄﾞｸﾄﾞｸとうるさく脈打って、
どんどん恥ずかしくなっていく。
直輝はこんな状態の私に気づいているのか、
ニヤニヤと意地悪そうな顔をしながら見つめてくる。
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年1月21日 0時
