□25.可愛いからずるいんだ ページ25
***
｢…わっ、｣
直輝｢……まだ、｣
｢へ…｣
.
彼の腕の中から脱出しようとしたのに、
グイッと引っ張られる力を感じて、
再び直輝に抱きしめられる。
.
｢…えっ、いや、でもここ直輝のベットなのに、｣
直輝｢…いーから。まだ寝るの…。｣
.
“まだ寝るの”
ってなんか子供みたいな言い方だ…、
可愛い直輝…。
って、いやいやそうじゃなくて！
.
そうキッパリ断言したっきり、
直輝はもう一度私を抱きしめながら眠りについた。
…まあ、直輝が寝れるならいいんだけど。
.
可愛いやら嬉しいやらドキドキやらずるいやら
私のこと抱き枕だと思ってんのかなとか、
昨日の私はいったい何を言ったんだとか、
色んな感情で頭の中ぐちゃぐちゃだけど、
今はこの状況にあやかろうと思う。
.
｢……綺麗な寝顔｣
.
どうせなら今しか出来ない事を…、
と思って、普段は見られない彼の寝顔を至近距離でまじまじと見つめる。
長い睫毛、
高くてｼｭｯとしてる鼻筋、
白くて滑らかな肌、
ふわふわしてる髪の毛、
綺麗な唇、
好きだなって思うところを順番に
人差し指で軽く触れてみれば、
最後に触れたのは唇で。
…あっいや、そういうんじゃないけど…！
って誰に言っているのか分からない言い訳を
しながらパッと指を離す。
.
…私ももうひと眠りしよう。
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年1月21日 0時
