□11.口紅に込めた気持ち ページ11
***
直輝｢…たまたま通りかかったから良かったけど、
もしあのままだったら自分がどうなってたか分かってるの？｣
｢…すみませんでした｣
.
直輝｢…なんかいつもより可愛くしてるし…。
こんなの、あんな男じゃなくても誰でも
Aに声掛けたいなって思っちゃうからね？｣
｢えっ、いや…それはない｣
直輝｢あるの。…リップだって、いっつもこんなの付けないじゃん。｣
.
抱き寄せられた体を離されたかと思えば、
やはり始まってしまったお説教タイム。
…てっきりまた直輝に迷惑かけちゃったことに対して怒られると思っていたのに。
彼の怒りの論点が少し想像とズレているような。
.
｢こ…、これは、その………、
ごめん…、似合ってないよね。｣
.
直輝に外で会うのとか久しぶりだから
ちょっと浮き足立ってオシャレしてみちゃいました
なんて恥ずかしくて言えないし。
やっぱり一人で舞い上がってバカみたい…。
そう思って手の甲で口紅を拭こうとした瞬間、
彼に手をｶﾞｼｯと掴まれて驚いた。
.
直輝｢……そうじゃなくて、｣
｢……？｣
.
直輝｢…可愛いって思われたからナンパされたの。｣
｢…え！あれナンパなの…！？｣
直輝｢…はぁ、気づいてなかったの？｣
｢…ただちょっと急に態度変わったから怖い人なのかなって…。｣
直輝｢…じゃあもし普通に優しい感じの人に
“一緒にご飯行きませんか”って誘われたら
Aはそのまま着いてくってこと？｣
｢…そ、そんなこと言ってないじゃん！｣
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年1月21日 0時
