【短編二】脱力系彼氏、藤井くん。

…お散歩 ページ8

「あっ」



パシャッ



「ん…いい感じ。」








実はわたし

カメラが趣味だったりする


散歩中だったり 学校帰りだったり




「あっ鳥、」




パシャッ




撮りたい瞬間を見つけたら

すぐ撮っちゃう




それがもし











藤「なぁ、」

「たんぽぽだ〜！」


ぶらぶらお散歩デート中なら尚更





藤「…A」

「ん？あ 流星ストップ、」



パシャッ






もちろん流星だって

立派な被写体であって




「ほら見て いい感じでしょ。」

藤「…」

「反応薄っ」






なんなら

一眼レフとか携帯の中は

最近じゃ流星ばっかりだったりもする


…言わないけど









「写真ってさ、瞬間の技なんだよ。」

藤「ふーん」

「生きてるものなら尚更！」

藤「……やし。」

「え？」

藤「なんもない。」



するとなぜか

フイっとそっぽ向いて 歩き出す流星





「…」





あれ？流星には伝わらなかったか




そう思いながら

その場に突っ立って

なんとなく写真を見返していると









藤「はよ。」

「うわっ」



頭上で声がして

パッと視線を上げれば

流星がいつのまにか戻って来ていて





藤「…でーと中」




少し不機嫌な顔で

クイクイとわたしの服の袖を引っ張った





「あ そうだねごめん！」




わたしがそう言えば

首からかけていたカメラが

ヒョイっと奪われて








藤「やだこれ。」

「…え？」

藤「家でやって。」



そう言って

何故か自分の首にかけた




…家でって流星 なんにも撮れないよ？








「分かったから一旦返し、」

藤「だめ あげへん。」



手を伸ばしたら

ぺちんっと叩かれた





「なんでっ！」

藤「だってこいつ、」



すると 何か言いたげな瞳と目が合って







藤「邪魔すんねんもん。」

「邪魔？」

藤「Aこればっかり構うから嫌い。」

「え…」




そう言うと

俯いて カメラをいじり始める流星






あぁ…困ったもんだウチの子は。









「拗ねてるの？」

藤「別に」

「カメラにやきもち？」

藤「…俺にも構って。」



本音が出るのが早いな





相変わらずのやきもち妬きさんに

思わず頬が緩む








「わかったわかった…ごめんね？」

藤「次したら知らん。」




そう言って

いきなり屈んだかと思えば




「！」



ちゅっとおでこにキスが降ってきた










_


リクエスト:菜々世さん

ありがとうございます*

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