【短編二】脱力系彼氏、藤井くん。

…しげおか ページ23

ちょっと口喧嘩をした次の日







グイッと

突然 流星に腕を引っ張られて

ぎゅうぅーっと抱き締められた






「え、なに！？」

藤「しげおか。」

「え？」

藤「しげおか。」

「…は？」






何度聞き返しても

しげおか。しか言わない流星



一体、重岡先輩がどうしたというのだろう



別に今は先輩と絡んでいた訳じゃない









藤「いややしげおか、Aなんで？」

「…えっとちょっと待って。」






喧嘩したことはもう忘れているんだろうけど

それはいいとして




耳元でボソボソ聞こえる声に

どうしたの？と聞くしかない






藤「夢見てん。」

「夢？」

藤「Aがしげおかに頼る夢。」






あぁなるほど、と

すぐにわたしは納得した



「流星、夢でしょ？それ。」



拗ねてる妬いてる…でも慣れてる



わたしは思わず、はぁとため息をつく






藤「夢でもいややってんけど。」

「…知らない。」

藤「重岡先輩〜ゆうとったやん。」

「言ってない。」






夢の話をされても分からないし

何にでもやきもちを妬く流星は

本当に重岡先輩が嫌いなようで






「流星、一旦離してくれる？」

藤「なんで？」

「なんでって、暑いし苦しいし話にくいから。」






わたしがそう言うと

仕方なく、そっと離してくれた流星



ここは一喝

入れてやらなきゃ気が済まない






いい？

と、子供を相手にするように

あまりのやきもち流星にお説教







「わたしは流星が好きだし流星の彼女だし、重岡先輩がどうとか夢がどうとかいちいち拗ねるな！」








…『親と子』だ。



怒ったわたしに流星は

一瞬びくっとしたようで目がまん丸





「返事は？」

藤「…」

「返事は？」

藤「………はい。」






だいぶ間があったけど

小さな小さな声が聞こえて

これで少しは分かってくれたかな、と一安心



した時











重「あっ！Aちゃんと藤井くーんやぁっ！」






あはは〜！と

お花が咲いてそうなこの人



…あぁ、重岡先輩タイミング






藤「なぁ、お前ちょっと来いや。」

重「えっ！？なになに、なんやねん！」






あっという間に連れ去られた重岡先輩は



重「助けて！Aちゃーんっ！」



そう叫びながら流星の餌食に






「……だめだこりゃ。」






やきもち妬きで子供なところは

きっと一生治らない、そう確信した






.






リクエスト:PIPPIさん

ありがとうございました*

…こんなのも、アリ→←…おめでとう

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す