42、彼の家 ページ42
待ちに待った日曜日。
約束の時間。
初めて来た川島の家の前で大きくひとつ深呼吸をした。
ドキドキ緊張で鼓動が速い。
グッと唇に力を入れて、少し震える指で玄関のチャイムを鳴らした。
数秒後、ガチャンとカギが開けられ、玄関が開いた。
出て来たのは
川島のお母さんっ!!
「……どちら様?」
「あ、のっ、私貴人くんの友達で、」
「……ちょっと待ってて。貴人!お客さんよ!」
初めてみた川島のお母さんは、なんだかちょっと怖そうで…、二階に向かって声をかけてくれた川島のお母さんがリビングへと戻って行くのを、黙って見ていることしか出来なかった。
その直後、バタバタと階段を駆け下りてくる音が聞こえて。
「あ……」
川島だ。
「あー…、入って」
合格発表の次の日、私の家に来てくれて以来、久しぶりに見る川島の姿に
胸が勝手にバクバク踊り出す。
「う、ん…」
抑えようにも、勝手にニヤケちゃう顔を背けながら靴を脱いだ。
初めて足を踏み入れた川島のお家。
川島が暮らす家。
川島の家族がいる家。
「お邪魔します」
リビングにいるであろう川島のお母さんを意識しながら
川島の後について、静かに階段を上がった。
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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月1日 12時