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31、卒業式 ページ31
卒業式の朝、少し雪が降った。
「A、もう並ぶって!」
廊下から私を呼ぶ茜の声。
ついに、この教室とも、この机とも、大好きな友達ともお別れしなければならない日が来た。
もちろん、川島とも……。
卒業証書授与式が厳かに行われ。
小学校の卒業式ではわからなかった『卒業』という意味を初めて実感し、式の間中涙が止まらなかった。
教室に戻ると、担任が抑揚のない声で、後ろにいる父兄に対して挨拶を始めた。
卒業式に涙ひとつ見せない。感動するような話もしない。
思えば、この先生の笑った顔って数回しか見たことないし、席替えだって面倒だからと、ほとんどしなかった。
でもそのおかげで、私は今日まで川島の隣の席でいられたんだけど。
担任の最後の挨拶が淡々と終わると、すぐに教室内が騒がしくなった。
友達と写真を撮る人。
親と一緒に担任に挨拶してる人。
肩を抱き合って泣いてる人。
そんな中、私の目はひとりだけを探していた。
川島は……?
川島はどこ…!?
教室内には見当たらない。
もしかして
もう帰った!?
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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月1日 12時