22、ダダ漏れの感情 ページ22
「……A!? なに!? どうした!?」
私に気付いた茜が目を丸くした。
その声に、川島と智美も会話をやめて私を見た。
「えっ、ちょっとA!?」
智美が椅子をガガガッと動かして私の元に寄って来た。
そんなみんなを見て、更に感情が昂る私。
なに泣いてんのよ、バカじゃないの、って思うのに。
一度決壊した涙腺は、なかなか思うようにならない。
泣き続ける私の横に居づらくなったのか、川島が席を立ち教室から出て行った。
…あぁ。
折角智美と楽しそうに話していたのに
全部私がぶち壊した。
そう思うと、更に涙が溢れ出た。
不安定な感情が落ち着いた頃
「ごめん、昨日のドラマを思い出したの」
なんて。
わけわからない理由で誤魔化した私を、みんなは大いに笑ってくれた。
笑わなかったのは、茜だけ。
ごめんね、みんな。
どうしちゃったんだろうね、私。
自分でもわからない初めての感覚に、ものすごく恥ずかしくもなった。
その日の放課後。
帰ろうとする私の元に、大倉がニヤニヤしてやって来た。
「栗原〜。お前、今日泣いたんだって?」
……あぅ。
大倉にまで知られてたなんて。
「別にいいでしょ!」
恥かしくて情けなくて、急いで帰ろうとする私のカバンを、大倉が掴んだ。
「吉村だろ?」
突然聞こえて来た名前に
「は……??」
勢いよく振り向いた。
すると、「え?違うの?」とでも言うように
大倉がニヤリと笑って話し始めた。
「だって吉村転校すんだろ?
『なんで泣くんだよ』って、川島落ち込んでたぞ?」
「……は…?」
…なに!?
それって、どうゆう意味…!?
それって、私が吉村の転校のことで泣いたと思って、川島がヤキモチ……妬いてくれたってこと!?
……いや。
いやいやいやいや。
違う。そんなはずない。
大倉の話だ。
こんなの鵜呑みにしたら、また自意識過剰が悪化する。
だけど
頭ではわかってるのに、どうしよう。
嬉しくて顔がニヤけちゃう。
これじゃあ、大倉にもバレバレだ…。
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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月1日 12時