190、初めて来た居酒屋 ページ43
正直、迷った。
返答に、困ってしまった。
黙って言葉を探す私を見ていた佐藤さんが、スッと私から視線を逸らした。
「…ごめん、今の忘れて。急に変なこと言ったわね」
「え……」
ふふっと。床に視線を落としたまま小さく笑う佐藤さんが、泣いているように見えた。
「いえ！飲みに行きましょう！実は私も飲みに行きたかったんです！」
…私ってバカだな、ってつくづく思う。
取ってくっつけたような言葉なんて、きっと佐藤さんにはバレバレだ。
結局、「無理してない？」って気にされながら、佐藤さんの行きつけだという居酒屋に向かった。
職場から車で移動すること10分。
一見、普通の一軒家のようにも見えるお店の前に車を停めて、控え目なのれんをくぐり、ガラガラとお店のドアを開けた。
「いらっしゃいませ〜！！
おっ？桃ちゃんだ」
威勢の良い声が聞こえ、カウンターの中から一人の男性が顔を出した。
「哲さん、また来ちゃった」
小さく笑った佐藤さんを見たその人が「どうぞどうぞ」と奥の個室に案内してくれた。
開けたままの引き戸がついた4畳半ほどの個室で、座布団を敷いて佐藤さんと向かい合わせに座った。
「栗原さん、何飲む？私はビールで」
「あ、私もビールにします」
案内してくれた店員さんが「はいよ〜」と戻って行くのを見て、佐藤さんに素朴な質問を投げかけた。
「あの、桃ちゃんって…？」
「あ、私のこと。名前、桃子。佐藤桃子」
そ、そうだったんだ…‼
初めて知った佐藤さんの可愛らしい名前に驚いていると、佐藤さんの目が一瞬細くなった。
「似合わないでしょう」
「い、いえいえ！そんなことは‼」
慌てる私を見て、ふふっと笑った佐藤さん。
「本当に栗原さんはわかりやすいわね」
……そんなに顔に出てたかな。
正直すぎる自分を殴ってやりたい。
「気にしなくていいわよ。それより何か注文しましょう。
ここ、お店は小さいけどお酒もお料理も本当に美味しいのよ」
そう言って佐藤さんが「はい」と私にメニューを向けた。
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ユチコ(プロフ) - おにぎり侍さん» 最初から読んでくださりありがとうございます！中学生の出会いから始まった二人の関係が今後どのようになっていくのかも楽しんで貰えるように頑張りますね！ (2018年8月19日 17時) (
レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - 絵蓮(ｴﾚﾝ)さん» コメントありがとうございます！最初から読んでくださってるなんて嬉しいです〜( ;∀;)もっとキュンキュンをお届けできるように頑張りますね！ (2018年8月19日 17時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり侍(プロフ) - 1から読みました！中学から大人になるまで…最高です！ (2018年8月19日 12時) (レス) id: 3b05885be4 (このIDを非表示/違反報告)
絵蓮(ｴﾚﾝ)(プロフ) - 続編おめでとうございます！1の時からずっと見させてもらって、ｷｭﾝｷｭﾝしてます！← 更新頑張って下さい！ (2018年8月18日 22時) (レス) id: 75d02ce64f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユチコ | 作成日時：2018年8月18日 18時
