136、友達は宝物 ページ38
雪融けが進んだ3月、2年間お世話になった学校や友達とお別れする日がやって来た。
卒業式後に開かれた謝恩会で、和風美人だった袴姿が一変、ドレスアップして更に美しさに磨きをかけたなっちがカクテルを持って私の隣に並んだ。
「A、楽しんでる?」
「もちろん。さっきまでそこで実乃里たちが余興していたんだよ」
「えー、見逃しちゃった。残念」
ふふっと笑ったなっちが、視線を私に向けた。
「…ん?なに?」
「A。私、この学校来て良かった」
「うん、楽しかったね。色々騒がしかったけどね」
笑いながら空になったグラスをテーブルに置いたら。
私の真正面に立ったなっちが、ぎゅっと私の両頬を挟んだ。
「そう思えたのは、Aのおかげだよ」
「私?」
「…あたしね。中学、高校と友達と呼べる女の子が一人もいなかったんだ。
どんなに頑張っても結局みんなあたしから離れて行っちゃうの。あたしってきっと無意識に人を傷付ける奴なんだと思う。だからもう友達を作ることなんてとっくに諦めていたんだけどね。
…だけどね?Aと出会ってどんどん友達が増えて行って。Aがいたからあたし、友達と過ごす楽しさとか優しさとか…そういうの初めて知ったんだよ」
なっちの目が、赤く潤む。
「ありがとう、A。これからもAは私の一番の友達だよ」
言いながらふわりと抱き締められた身体。
「なっち…」
違うよ、なっち。
なっちが悪かったんじゃないと思う。
きっとね、何でも持ってるように見えるなっちのことが、みんな羨ましかっただけなんだよ。
だって私、知ってるもん。
短大に入って、中々馴染めず1人でいた私に初めて声をかけてくれたのはなっちだったもん。
いつも人に注目されて華やかに見えるけど
本当は寂しがりやで、すごく友達想いだってこと、私知ってるもん。
「私だってなっちと会えて良かった!ずっとずーーーっと友達だよ!」
泣き笑いして抱き合う私たちを、実乃里たちが笑ってる。
茜。美香。なっち。
今まで何気なく過ごして来た日々で出来た、かけがえのない沢山の友達。
私は特別な人間じゃない。
自慢できるものなんて何も持っていないけど。
これだけは、ハッキリ言える。
私にとっての誇りは友達。
友達は、一生の宝物だ。
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ユチコ(プロフ) - なしなぎさ( =^ω^)さん» コメント&ニヤニヤありがとうございます笑 大好きと言ってもらえて嬉しいです( ;∀;)更新頑張ります☆これからもよろしくお願いします^^ (2018年8月6日 19時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
なしなぎさ( =^ω^)(プロフ) - これ見ていつもにやにやしてます…←変態wこのお話大好きです!更新いつも楽しみにしてます!これからも頑張ってください! (2018年8月5日 17時) (レス) id: 807497c1ec (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - れもねーるさん» コメントありがとうございます!最初から見てくださってありがとうございます(T_T)出来る限り更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします☆ (2018年8月1日 12時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - 亜夢さん» コメントありがとうございます!最初から見てくださっているのですね( ;∀;)嬉しすぎます(T_T)亜夢さんもお体にお気をつけて!応援ありがとうございます!頑張りますね☆ (2018年8月1日 12時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
れもねーる - 最初から見てます!これからも更新頑張って下さい! (2018年8月1日 10時) (レス) id: 34bb338129 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月30日 11時