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115、紅茶を飲みながら ページ17

部屋の真ん中に置いた白いセンターテーブルに、淹れたての紅茶を置く。


向かい合うように座った私たちは、まだ熱い紅茶をゆっくりと啜った。

「あ、うまい。何これ?」

「カモミールティーだよ」

「へぇー」


美味しそうに紅茶を飲んだ涼が、テーブルにカップを戻しながら私を見た。


「…なに?」

「ん〜、なんか懐かしいな〜と思って。
それより昨日大丈夫だった?ひとりでちゃんと帰れた?」

「帰れたよ。子どもじゃないんだから〜」

「まぁそうだけど。
Aが酒飲んでるとこ初めて見たけど、あまり強くないんじゃね?
途中から目据わってたぞ」

「え、ホント?」

「ウソだけど」

「ちょっと!!」


冗談を言い合うように笑いながら、昨日の合コンの話、お互いの学校の話。
私たちは色んな話をした。
深夜のアパートに響く笑い声に時折二人でしーっと声を落として。
それでも笑ってしまうのは、このテンポのいい会話が懐かしかったから。

こんな風にまた涼と一緒に笑えていることが
涙が出そうなほど嬉しかった。




ふと、時計に目をやった涼が

「さてと」立ち上がった。


「帰るの?」

「そりゃ帰るよ。
泊まったりしたら彼女に怒られる」


あ…。
彼女、いるんだ。


「なにその顔。泊まって欲しいの?」

「まさか!」

「冗談だって」と笑った涼が玄関で靴を履く。



「大丈夫?っていうか家どこ?どうやって帰るの?」

「大丈夫。タクシー拾うから。
あ。A番号教えて。ストーカーで捕まるの俺やだし」


笑いながら、新しくなった番号をお互いに交換して。


「じゃ、帰るわ。戸締りちゃんとして寝ろよ。
おやすみ」


そう言って涼は、あの頃と変わらない笑顔で帰って行った。



ひとりになった部屋の中。
テーブルの上の空になった二つのマグカップを見ながら、結局涼は何しに来たんだ?と頭を捻った。


だけど、良かった。

涼が来てくれて…涼のことが知れて良かった。


私は傷付けることしか出来なかったけど…今、涼に彼女がいたこと。
私と付き合っていたことで、一時は諦めかけた大学生活を涼が楽しんでいること。

本当に幸せそうに楽しそうに笑う涼の笑顔が、あの時別れを決断した私を肯定してくれたような気がして。

その夜は久々に、深くゆっくりと眠りに着いた。

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設定タグ:オリジナル , 恋愛 , 青春   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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ユチコ(プロフ) - なしなぎさ( =^ω^)さん» コメント&ニヤニヤありがとうございます笑 大好きと言ってもらえて嬉しいです( ;∀;)更新頑張ります☆これからもよろしくお願いします^^ (2018年8月6日 19時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
なしなぎさ( =^ω^)(プロフ) - これ見ていつもにやにやしてます…←変態wこのお話大好きです!更新いつも楽しみにしてます!これからも頑張ってください! (2018年8月5日 17時) (レス) id: 807497c1ec (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - れもねーるさん» コメントありがとうございます!最初から見てくださってありがとうございます(T_T)出来る限り更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします☆ (2018年8月1日 12時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - 亜夢さん» コメントありがとうございます!最初から見てくださっているのですね( ;∀;)嬉しすぎます(T_T)亜夢さんもお体にお気をつけて!応援ありがとうございます!頑張りますね☆ (2018年8月1日 12時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
れもねーる - 最初から見てます!これからも更新頑張って下さい! (2018年8月1日 10時) (レス) id: 34bb338129 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月30日 11時

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