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56、バイト ページ6

もういい。もうやめた。
川島なんて、もう知らない。
そんなにサッカーが好きなら、サッカーと結婚でもなんでもすればいい。



日常が淡々と過ぎていく中、毎日呪文のように同じ言葉が頭を巡り。
そして考えれば考えるほど、頭の中は川島でいっぱいになって。


川島が私の家に初めて来た日のこと。
疲れているのに毎日電話をくれたこと。
初めて川島がヤキモチを妬いてくれたこと。


幸せだった日々を思い出して

毎日、毎日

泣いた。





「……A。このままじゃダメだよ…」


休み時間。
教室でひとり座っていた私の横で、茜が大きくため息をついた。


「…うん」

やっぱり茜は何でもお見通しなんだね。
わかってるよ。
私も本当はわかってる。

このままじゃ自分がダメになるってことは。


でも……。


俯いた私を見てもう一度大きくため息をついた茜が


「A。バイトでもしてみたら?」


そう言って、私の目の前にアルバイト情報誌を差し出した。



「バイト…?」

「そ。私も今探してるんだけど。
Aも忙しくしてたら余計な事考えなくて済むかもよ?」


その言葉に、希望の光が差した。




それからの行動は、自分でも驚くくらい早かった。

茜から借りたアルバイト情報誌を読み漁り、家からそう遠くないファーストフード店の面接に行った。

採用が決まってからは、とにかく働いた。
人手不足に悩んでいた店長さんは、たくさん働きたいという私を喜んでシフトに入れてくれた。


仲良くなったバイト仲間が、「そんなに働いてどうするの」と言っていたが

目的なんて何もない。

ただ、働きたかった。


放課後。週末。

とにかく、ひとりの時間を作りたくなかった。

川島のことを考えてしまう時間を作りたくなかった。

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設定タグ:オリジナル , 恋愛 , 青春   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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ユチコ(プロフ) - Blueheartさん» コメントありがとうございます!嬉しい〜( ;∀;)更新頑張ります〜☆ (2018年7月29日 16時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 更新頑張ってください! (2018年7月26日 18時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月16日 12時

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