76、そっくりなお兄さん ページ26
涼くんの家へと向かうバスの吊革に掴まりながら、じわじわと掌が湿って来た。
あぁ、もう!
美香が変なこと言うから、緊張してきちゃったじゃない…っ!
朝、美香に言われたことを想い出し、火照る顔を手でパタパタと扇ぐ。
美香じゃあるまいし。
私たちはもっと清く正しい交際をしているわけで。
…でも。
考えてみたら涼くんも男の子だから…。
もしかしたら涼くんもそういうことしたいと思っているのかな。
よく考えたら私たち、その…キスもした仲なんだし…。
「…そんなことない!考え過ぎだ私!」
もんもんと頭に浮かぶ妄想を払うように頭を振って。
大きく深呼吸をひとつしてから、涼くんの家のインターホンを押した。
「はーい!入って入って!」
まだ制服姿の涼くんが、ドタバタと玄関に出て来た。
「…ん?どした?」
あ…。
いつもの優しい笑顔。いつもの涼くんだ。
なんだ、私バカみたい。
「ううん、なんでもない。お邪魔します」
いつもと変わらない笑顔の涼くんにホッとしながら、変なことを考えていた自分を恥ずかしく思い靴を脱いでいたら
目の前の玄関のドアが大きく開いた。
「……お?」
「……!!」
私を見下ろすその顔に言葉を無くしてしまった。
だって
涼くんと瓜二つ!!
固まる私をじろじろと見詰めた目の前のイケメンが、グイッと私に詰め寄った。
「……誰?涼の彼女?」
「は、はいっ!」
声が裏返った。
「兄貴帰って来たの」
そこで聞こえてきた涼くんの声。
すると、彼にそっくりなお兄さんがニヤニヤと頬を緩め笑い出した。
「なにお前。
昼間っから女連れ込んで何する気?」
お、女連れこ……!?
「バ、バカじゃねぇのっ、変なこと言うなや…っ!
ちょ、こんなの構わなくていいから入って!」
「え、あ…っ」
怒って真っ赤になった涼くんが、いつかのように私の腕を掴んでぐいぐいと階段を上っていく。
「ほんっとマジごめん。さっきのが下の兄貴。
も〜兄貴たちに会ってもマジで無視していいから!!」
言いながら涼くんが部屋のドアが締め。
そんな彼が可愛くておかしくて、笑いながら視線を部屋の中へと移して
「……うそぉ」
思わず声を洩らした。
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ユチコ(プロフ) - Blueheartさん» コメントありがとうございます!嬉しい〜( ;∀;)更新頑張ります〜☆ (2018年7月29日 16時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 更新頑張ってください! (2018年7月26日 18時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月16日 12時