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 つまるところ、アイとマイカは同一人物だった。アイは、時越えで過去に行き、自分を忘れ、顔を変え、セレンと出会い、マイカになった。
 ボクがそうかもしれない、と疑いを持ったのは、地下室に泥棒が入った日だ。眠るアイツから2人の注意が逸れ、2人きりになり、ボクがアイツを殺そうとした時。目覚めたアイツが……マイカが、ボクの名前を口にして、アイとよく似た笑顔を浮かべた。その時、もしかして、と思ったのだ。不老不死の魔法は時戻しが根幹だったようだし、昔に戻るのも可能だと思った。それからだ。アイツを殺せなくなったのは。憎いのに、アイかもしれないと思ったら殺せなかった。だから、アイ自身にアイツを殺せるだけの力をつけてもらおうと、魔法の教え方を変えた。
 アイ=マイカだと確信を持ったのはさっき。セレンが時を越える魔法を使おうとしていると理解した時だった。

 アイツが目覚めた瞬間、何となく、本当に何となくだけれど、アイが戻ってくる気がした。
 そしてその通りだった。寝起きの一言が、アイツではなくアイのものだった。
 どうしてアイの状態に戻れたのだろう、という疑問があるけれど、今聞ける状況ではないし、まぁ、それほど気になるわけでもない。

「うん、そうだね。君はアイだ。覚えているよ」
 目を細めて微笑むセレンに、「良かった!」と無邪気に笑うアイ。2人だけ見ればいかにも幸せそうだが、事態は全くそうではない。
「で、どうするの、おにーさん。逃げる気はなくて、死ぬ気ならあるんでしょ?」

 必死の形相で、治安部隊員達がボク達を睨んでいる。本当は拘束して、法の裁きを下したいところなんだろうけど、マイカ……いやアイの力を知って、下手に手が出せないんだろう。とは言え、2人の犯した罪は深い。最悪、ここで殺される。多分、ボクも同罪と思われてるし。いや、多少手伝ったのだから共犯ではあるか。

「んー、そう言ったけど、」
 思案げな表情を浮かべたセレンはちらり、と部隊を見て、そしてアイを見た。
「止めるよ」
「はぁ?」
「アイはどうしたい?」
 突然話を振られたアイは、深く考えた様子もなく答える。
「セレンと一緒なら、何をしたって良いよ!」
「……分かった」
 返事を聞いたセレンは、アイの頭を、髪を梳くようにして撫でた。その顔には、困ったような笑みがあった。


・・・

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作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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たまご(プロフ) - めっちゃ面白かったです!アスラ君、大好きでした! (2019年9月26日 7時) (レス) id: 4b6840f9b9 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - チェシャ猫さん» ありがとうございます(*^^*) アスラ君、好きになってもらえて良かったです! (2019年3月24日 2時) (レス) id: a49b6f3827 (このIDを非表示/違反報告)
チェシャ猫(プロフ) - 完結おめでとうございます!いやぁ、めでたしめでたしですね!!アスラ君最後まで大好きでした!お疲れ様でした!! (2019年3月23日 15時) (レス) id: 0582223455 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - なななさん» あなたの事は知ってますよー。コメントどうも! (2017年5月5日 21時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
ななな - すっごくおもしろいです!!!!! めつちゃ最高(*゚▽゚*)更新楽しみにしてまふ(( (2017年5月5日 14時) (レス) id: b05e83a60b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:寒極氷化(かんごく ひょうか) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/orazu/  
作成日時:2016年4月26日 0時

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