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〜134〜 ページ37

良かった。移動手段を手に入れた。私に絡んできた男達が使っていらしい魔導四輪駆動車だ。お祖母ちゃんの家にあった旧式の車と一緒だ。ハンドルに魔力を流し、操作する事で運転できる。先程、魔力を消耗してしまったので、近くにいた男に頼んで運転してもらった。
「もっと速度上げられないの……?」
「ひっ……わ、分かりました」
「もっと」
「こ、これ以上は違反速度ですし、あ、危ないです!」
「やって」
「ひぃっ」
 私が炎を出すと、男は顔を引きつらせて、慌てて速度を上げた。
 時たま、ガンッ、と何かにぶつかるような音や「停止しろ!」という声がするが、走り続けられている限り、問題はない。

 そうして爆走していると、風景から建物や人が減っていった。森に近いほど、街並みは寂れていくのだ。
 森の端に着くと、駆動車を停めさせた。
「ここでいいよ」
「あ、あぁ、はい」
 車から降りる。
「ありがとう」
 ぺこり、と頭を下げて、森の中へ入っていく。
 体力は、何かに体を預けずに歩けるくらいには回復した。魔力も僅かながら。


 セレンは、世界のどこにも居場所がなくて、死のうとした私に、手を差し伸べてくれた。今度は、私が助けなきゃ。
 私が救わなきゃ。

 私が、私が……

 "魔女"を……。


 雨脚が強くなっていた。その冷たさが、私の意識を朦朧とさせる。
 せっかく回復した体力も、当ても確証もなく歩き回っているせいで、すぐに削れてしまった。まるであの日のようだ。私とセレンが初めて会った日……。

「セレン……」
 求めるように名前を呼んだ。
 すると遠くに、人工物の影を見つけた。

 その影を頼りに進むと、突然視界が開け、目の前に黒い柵に囲まれた洋館が現れた。随分と久しぶりに見る気がする建物。セレンの住む家。
「やっと、着い……」
 視界が傾いた。いつの間にか地面に倒れ込んでいた。
「あ、れ……?」
 まだ、セレンに会ってないのに……。会わなきゃいけないのに……。そんな意志も、自らの意識が闇に沈むのに。抗えなかった。
「セ、レン……」

・・・

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作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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たまご(プロフ) - めっちゃ面白かったです!アスラ君、大好きでした! (2019年9月26日 7時) (レス) id: 4b6840f9b9 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - チェシャ猫さん» ありがとうございます(*^^*) アスラ君、好きになってもらえて良かったです! (2019年3月24日 2時) (レス) id: a49b6f3827 (このIDを非表示/違反報告)
チェシャ猫(プロフ) - 完結おめでとうございます!いやぁ、めでたしめでたしですね!!アスラ君最後まで大好きでした!お疲れ様でした!! (2019年3月23日 15時) (レス) id: 0582223455 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - なななさん» あなたの事は知ってますよー。コメントどうも! (2017年5月5日 21時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
ななな - すっごくおもしろいです!!!!! めつちゃ最高(*゚▽゚*)更新楽しみにしてまふ(( (2017年5月5日 14時) (レス) id: b05e83a60b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:寒極氷化(かんごく ひょうか) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/orazu/  
作成日時:2016年4月26日 0時

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