魔女の世界 ３

〜126〜 ページ29

「……ここさぁ、娘を人体改造したってあるけど、これ、もしかして、二代目マギアノが言ってた、魔法を使う時に漏れ出す魔力が集まる場所の事？ 名前分かんないけど」
「そうだよ。名前は、明確に論文とかにしたものじゃないから、本人が付けたわけじゃないけど、通称『魔力脈説』。この説の中に、魔力が集まっている所があると言っていたんだよね。事実は、そこに書かれている通り、生命力の流れを基にして魔力脈とでもいうモノができて、更に、カレアが前からあったのとは別に人間用もの造った、という事だよ。それが今でも受け継がれて……今はアイがその役を担っている。その日記の時は名前が付いていなかったみたいなんだけど、魔力が溜まる所を『魔力溜』って呼ぶんだよ。これも通称だけどね」
「そうだったんだ」
　本当、その呼び方、モノみたいな扱いだな。……まぁ、その通称を使っている奴らは、自分達が魔力溜と呼んでいる人を見た事がないから、人っていう実感が湧かないからなんだろうけど。

「いい加減気分悪くなってきたから、この日記の最後の方読んで終わるよ」
「うん、そっか」

　……なんだろう。セレンとこんな会話をしているのが不思議な気がしてきた。まるで友達みたいな。違うけど。……でも、ボクに友達がいた事がなかったから、友達の定義がいまいち分からないんだけどね。そういえば、ボク達の関係は何と呼ぶんだろ。ボクにとって、セレンは復讐相手。対してセレンはボクの事をどう思ってるんだろう？ やっぱり復讐しに来た奴？

「おにーさん」
　最後辺りのページを開く前にセレンの方を向いた。
「何？」
「おにーさんはボクの事、どう思っているの？」
　ボクの唐突と言える問いに少し考える素振りを見せて、答えた。
「そうだね……僕を憎んでいてくれる子、かな」
「……何それ……」
　実はMなの？……というのは流石に冗談。
　しかしまぁ、心を読むのが上手いってよく言われるけど、コイツのは読みたくない心をしてるよね……。
「……まぁいいや」
　とりあえず、セレンの発言は流そう。

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