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状況は単純だった。マイカさんが目覚めて、セレンが解放されている事に気付き、それをした私とアスラ君に対して怒った……それだけ。
ただし、殺人的視線と私達が"魔女"であるという勘違い付きだけど。
「殺してやるッ!!」
魔力回復中の身のためか、ふらつきながらも、殺意だけで立っているような状態のマイカさん。
ゆらりと体を揺らして、掌をこちらに向ける……その時、
「マイカ!!!」
「!」
セレンが叫んだ。ビクッと肩を震わせ、殺意を解き、やっとセレンを見つめるマイカさん。
「違う。"魔女"じゃないよ、彼らは。だから、安心して。落ち着いて」
先程とは一転して、セレンは相手を宥めるようにゆっくりとした口調になる。同時にマイカさんに一歩一歩近づいていき、やがてマイカさんの目前までやってくると、優しく抱きしめた。
「ほら、大丈夫だから……」
「…………うん」
安心したようで、マイカさんからすーっと力が抜けていく。
あぁ、そっか。珍しくセレンが叫んだのは、暴走状態になりかけていたマイカさんに自分を認識させるため。………そう、分かったけど、でも、やっぱり……複雑だ。
「あ……寝たみたいだね」
苦笑して、腕の中のマイカさんを見る。セレンは、
「マイカの部屋まで行ってくるよ」
と、ハグの形から例のお姫様抱っこの形に抱え直し、こちらに背を向けた。
・・・
事が一段落してから、私はマイカさんの部屋を訪れた。
そこには案の定、セレンがいた。奥のベッドに腰かけ、眠る少女を見つめている。だから、呼ぼうか少し躊躇った。
「……セレン」
少しの間の後、
「……ん、アイ。どうしたんだい?」
「あの、えっと、訊きたい事があって」
「分かった」
セレンは、マイカさんを起こさないようにゆっくり立ち上がって、こちらに来る。
「何? 訊きたい事って?」
「あの、たぶん長いから、座れる場所に移ろう?」
という事で、久しぶりのテラスだった。セレンがマギアノでアスラ君がシキだと知らされたあの場所だ。意外と近かった。
「あのね、セレン。……不老不死の魔法について、詳しく教えてほしいの。その、構造とか」
今回、マイカさんのアレを見て、肉体改造の魔法を密かに習得中である事もあって、不老不死について改めて気になったのだ。
「……そうだね。いいよ」
セレンは、いつもの困ったような笑みを浮かべて頷いた。
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たまご(プロフ) - めっちゃ面白かったです!アスラ君、大好きでした! (2019年9月26日 7時) (レス) id: 4b6840f9b9 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - チェシャ猫さん» ありがとうございます(*^^*) アスラ君、好きになってもらえて良かったです! (2019年3月24日 2時) (レス) id: a49b6f3827 (このIDを非表示/違反報告)
チェシャ猫(プロフ) - 完結おめでとうございます!いやぁ、めでたしめでたしですね!!アスラ君最後まで大好きでした!お疲れ様でした!! (2019年3月23日 15時) (レス) id: 0582223455 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - なななさん» あなたの事は知ってますよー。コメントどうも! (2017年5月5日 21時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
ななな - すっごくおもしろいです!!!!! めつちゃ最高(*゚▽゚*)更新楽しみにしてまふ(( (2017年5月5日 14時) (レス) id: b05e83a60b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:寒極氷化(かんごく ひょうか) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/orazu/
作成日時:2016年4月26日 0時