実家 ページ41
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久し振りの実家。
懐かしいけど、今はもう此処を出て数年経つからなのか、他所へ来たような不思議な感じも微妙にする。
無意識に思い浮かべたのは、お兄ちゃんの傍の、あの強い香水と体温。
ふと、学生時代に読んだ小説の一節が脳裏に蘇った。
【貴女が此処に居たいと思えば此処は貴女の城になり、居たくないと思えば此処は貴女の牢屋になる】
家を出てからこうして何度も帰ってきてるのに、
あの場所を知ってしまったからなのか、やたらそれが鮮明に浮かんで、
あぁ、そうか。
私にとっての城は、お兄ちゃんの傍だったんだ。
「あ〜…そっか………はは……」
ずっとハマり方が分からなかったパズルのパーツが、ピタッとハマった感覚に空笑いが洩れた。
生活感に溢れた家はとても綺麗とは言えないけど、昔ながらの平屋で、何処にいてもお母さんと会話できて、今更ながらいいな〜って思ってみたり。
実家を出ると気付かなかった素敵な所が見えてくると言うけど、私の場合気付くのが遅すぎたみたい。
どんだけ自己中だったんだろ。
これからはもっと帰って来て、夕御飯一緒に食べたりしようかな…
"これからは"って……
一人でグルグルとりとめの無い事を考えながらいつもの場所を確認。
電話機の隣。
看護士でフル勤務してるお母さんとは毎日話を出来る訳じゃなかったから、伝言したり渡したりする物は昔からここに置くって決まってる。
学校からのプリント、
郵便受けに入っていたチラシとか請求書、
メモは埋もれるからテープで横の壁に貼っておく。
でも今日のは蓋付きの大きなクッキーの缶。
「あ、懐かしい〜」
昔よくおばあちゃんが頂き物だと言ってティッシュに一種類ずつ取ってくれて、いろんな形とか味とか固さのそれらをワクワクしながら大事に食べた記憶がある。
でも何でクッキーをわざわざ?
腑に落ちなくて首を傾げた。
疑問に思いながらも蓋を開けてみると、
「ん?…何?手紙?」
どうゆうこと?
一番上の封筒を一通手に取って、開封もされていないそれの裏を何気無く見てみて、
「ぇっ……」
動きも息も思考も一瞬停止した。
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けぃたん(プロフ) - 続き読みたいです (2020年12月16日 8時) (レス) id: f3a839ab97 (このIDを非表示/違反報告)
みんはは(プロフ) - お忙しいことでしょうが更新を楽しみにしております(^^) (2018年10月30日 17時) (レス) id: 2600b841f9 (このIDを非表示/違反報告)
サラン(プロフ) - みんははさん» さらんさんがんばります(*´▽`*) (2018年9月14日 0時) (レス) id: a36c8f7d95 (このIDを非表示/違反報告)
みんはは(プロフ) - 更新ありがとうございます。主人公ちゃんついに決心しましたね(^^)主人公ちゃんもレオくんもサランさんも←がんばって! (2018年9月13日 23時) (レス) id: 2600b841f9 (このIDを非表示/違反報告)
サラン(プロフ) - ゆゆさん» ゆゆさん、まぁまぁ落ち着いて(ノ^∇^)ノ取り敢えずLEOさんの体でも眺めてもう少しお待ちを 笑 (2018年9月7日 0時) (レス) id: a36c8f7d95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サラン | 作成日時:2018年6月6日 22時