夢の終わり ページ21
.
LE「ただいま……A?」
結局彼が帰ってきたのは夜遅くて、
寂しくて会いたくて胸が苦しくて、ベッドに踞って布団に丸まっているしか出来なかった私に、
少し掠れて、空気に舞うように落とされる優しい声。
LE「どうした?具合悪い?」
大好きな声が切なさと愛しさと憎しみを煽る。
「何でもっと早く帰って来てくれなかったの?
ずっと待ってたのに」
布団から顔を出して文句を言うと、一瞬面食らったように両目を見開いて、それから笑顔になった。
LE「ごめんね?寂しかった?」
怒ってるのに、嬉しそうに私の頭を撫でるから悔しい。
「別にそーゆー訳じゃないけど…」
LE「ん?」
いつもみたいに顔を覗き込んで優しい眼差しで私の言葉を待つその仕草が、今は辛いだけで、
そんな自分の感情に更に息苦しくなって、
"諦め"
そんな単語が一瞬思い浮かんだ。
「……分かってる?私達帰ったらもう……っ」
それ以上は言えなくて、喉の奥に詰まり、
お兄ちゃんの表情が一辺して凍りつく。
違う、こんな事言うつもりじゃなかったのに……
「ごめ…んなさい…」
呟いた謝罪は声になったのか分からない程小さくて、彼の顔を見ていられなくなった。
独りで待っている間、考えたくもないのに沢山考えた。
ずっと、ぐるぐるぐるぐる…
襲ってきた頭痛に頭を抱えながら。
私は日本に、元の場所に戻るしかない。
そう思ってしまったらもう、
昨日貰ったエン君の言葉も、大切に宝箱に仕舞っておくだけにしよう。
そう、自分を守る為の防衛本能が働いて。
昨日意味も無く見ていた只の白いスケジュールの紙が立体的に浮き上がって、それを実際この目で確認してきて、
迫る現実にどんどん冷静になっていったのか、
逆に焦りでパニックになったのかは自分でも分からない。
どちらにしても明確なのは、もう夢から覚める時が来てしまったという逃れようの無い現実。
.
65人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
けぃたん(プロフ) - 続き読みたいです (2020年12月16日 8時) (レス) id: f3a839ab97 (このIDを非表示/違反報告)
みんはは(プロフ) - お忙しいことでしょうが更新を楽しみにしております(^^) (2018年10月30日 17時) (レス) id: 2600b841f9 (このIDを非表示/違反報告)
サラン(プロフ) - みんははさん» さらんさんがんばります(*´▽`*) (2018年9月14日 0時) (レス) id: a36c8f7d95 (このIDを非表示/違反報告)
みんはは(プロフ) - 更新ありがとうございます。主人公ちゃんついに決心しましたね(^^)主人公ちゃんもレオくんもサランさんも←がんばって! (2018年9月13日 23時) (レス) id: 2600b841f9 (このIDを非表示/違反報告)
サラン(プロフ) - ゆゆさん» ゆゆさん、まぁまぁ落ち着いて(ノ^∇^)ノ取り敢えずLEOさんの体でも眺めてもう少しお待ちを 笑 (2018年9月7日 0時) (レス) id: a36c8f7d95 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サラン | 作成日時:2018年6月6日 22時