宝物 3

会いたい ページ19

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「はぁ……」


甘過ぎる。

幸せ過ぎる。


同棲なんてした事無いし私には無理だと思ってたけど、お兄ちゃんだったら全然有り。



そういえば……

こんな風に絶え間なく毎日一緒にいるのに、私全然しんどくない……？


恋人がいても毎日会うなんてしてこなかったし、一人の時間が好きだから毎日会ったりしたら疲れると思っていたのに……。


あぁ……会いたいな……


今もう、こんなに会いたい。




胸がキュッとなって、好きを痛感していると、


ヴーヴー


ケータイが震えてカトクを受信した。



LE【やー、不良娘！良い子にしてろって言っただろ】


つい頬が緩んで、慌てて引き締める。


そー言えば、今日何処に行くかとか何にも教えてない。


聞かれなかったから言いそびれたけど、よく出掛けたの気付いたな……執念？あはは〜



【不良娘はこれからオシャレなカフェでコーヒーを飲んで、職場に挨拶に行ってきます】


LE【了解。ナンパされるなよ？】


【ないない】


LE【俺だったらする。Aは凄い可愛い。絶対油断するな】


ケータイ見ながら顔が熱く火照ってくる。


そんな事言うのお兄ちゃんだけだし。

もぅ……バカ。



……つーか待てよ？ん？
ナンパするんか？



【私は大丈夫お兄ちゃんじゃなきゃついてかないから。てかナンパするの？】


LE【しない。もうすぐ撮影始まる。気をつけて行ってくるんだよ？愛してる】


何となく誤魔化された感が……。


……あいつしそーだな。


ついいつものお姉様達と戯れている姿を想像してモヤッ。


私も人の事言えない執着女だわ。

だめだめこんなんじゃ。



【私も愛してる。大好き】


大袈裟な位の愛情表現はカトクだからできる。
精一杯の可愛子ぶったスタンプも。


【可愛い子に目移りしないでね？】


目がウルウルしてるスタンプでも送っとけ。


そしたら、


ヴー

LE【バカ絶対しぬいし】
LE【かわい】
LE【たきしめたい】


おぉ、落ち着け、誤字酷いから。

しぬいしって！


メイクされながら鼻息荒くこれを打ち込んでいるところが容易に想像できて、思わず笑った。







やり取りを終えたところでちょうど目的の駅に着き、ケータイを握りしめて電車を降りる。



見慣れたホームも街並みも半年前と変わっていないのに胸がソワソワするのは、心をお兄ちゃんの所に置いてきたままだからかな？


なんて。




人の波にこの気持ちが掻き消されないように、一人群れから外れてゆっくり歩いた。



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