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244.庭のアヤメ ページ44

祖母は話を続ける。


「その女性はね、恋人を亡くしていて…

 それでも彼を愛していたのね。

 彼の誕生日にはアヤメの花を嬉しそうに抱えて…

 あの時代、誕生日をお祝いする風習はなかったようだけど

 彼女は彼が生まれた日を大切にしていたのね。

 ご先祖様は二人のことを忘れまいと、

 それ以来、その恋人たちのことを思い、

 花屋が無くなってもアヤメだけは咲かせてって。」


 祖母は何かを思い出したかのように手を動かした。


「そうだ…

 これAにあげるよ。」


 そう言うとバッグの中から年季の入ったお守りを出した。


「これが、そのお守り。」


 それは紛れもなく、私が和尚さんにもらって

 弥栄子さんにあげたものだった。


「…どうしたの?そんなに泣いて。」


「ううん…。

 ありがとう…ありがとう…。」


 母親と祖母は私が泣きじゃくる姿に顔を合わせて驚いていた。


「…ねえ、私と一緒にいた人は?」


「ああ、彼なら…」










「もしもし。」


「もしもし、A先生…目が覚めたのだな!」


「はい。

 煉獄先生、あの日私を庇ってくれたのでしょう?

 ありがとうございました。」


「…突然の事故だったな。

 君を危険な目に合わせてしまってすまなかった。

 本当、無事で…良かった。

 君は1週間も…目を覚さなかったんだ。」


 そんなに…!?

 
 電話越しに涙で声が詰まるのが聞こえた。


「いえ、先生のせいではないですから!

 きっと、先生が庇ってくれなかったら、

 私は生きていなかったかもしれません。


 煉獄先生、お身体は?」



「俺も背中を怪我したがな、身体が丈夫なのだろう。

 医者も驚くほどの回復で、すぐに退院できたんだ。

 君を守ったくせして、俺の方が早く目が覚めるなんてな…

 実に情け無い話だ。」



 そんなの…いいよ。


 あなたが生きているのだから…。


「煉獄先生が無事で良かったです。

 私も先程検査を終え、問題ないようなので

 明後日には退院できます。」


 私は病棟の窓から外を眺める。


「煉獄先生。」


「ん?」


「明後日、お会いできませんか?
 
 少しお話したいことがあります。」


「うむ。もう夏休み期間に入ったからな!

 明後日はちょうど休みを取っている!」



「ありがとうございます。」



「病院に迎えに行っても?」


「よろしいのですか?」


「もちろんだ!共に退院祝いをしよう。」

 

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - sayaさん» sayaさん、ご感想をありがとうございます!一気読み嬉しいです〜!勿体無いお言葉まで…感謝の気持ちでいっぱいです。。ぜひ、他の作品でもお待ちしておりますね!最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。 (10月20日 19時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
saya(プロフ) - はじめまして!キュンキュンしたり、切なくなったり、ホワホワしたり、で一気読みしてしまいました。とまりませんでした。このお話と出会えてよかったです。他の作品もこれから読まさせて頂きます!! (10月19日 23時) (レス) id: 7154e48ffe (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - もにょさん» もにょさん、最後までお読みいただき、そしてコメントをしてくださり、ありがとうございます!最高な作品だなんて…幸甚の至りです!またいつでもお越しくださいね。 (5月6日 8時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
もにょ - ハンカチがびっしゃびしゃになる程泣きました。甘く切なく幸せな夢をありがとうございました。最高な作品に出会えて幸せです。長編お疲れ様でした! (5月6日 4時) (レス) @page48 id: c62f6d1e54 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 桜月夜さん» 桜月夜さん、感想ありがとうございます!感動してくださるなんて光栄です!素敵なお言葉までありがとうございます(*˙˘˙*) (2021年11月19日 17時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年11月5日 19時

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