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243.蘇る記憶 ページ43

ん…


 ここはどこ?


 目を開けると白い天井が視界に広がった。


 いっ…


 身体を動かそうとすると、背中と頭に痛みが走る。


 そうだ…クルマに轢かれたんだ。



「A!?」



 懐かしい声に顔を向けた。


「…お母さん?」


「…良かった。気がついたのね!?」


「…あれ?ここは?」


「あなた、車に轢かれそうになって怪我したのよ…!」


 やっぱり…



「星を見たくて…北極星を見たくて…。

 あっ!!写真は?」


「…写真?そんなもの持っていなかったよ?」


 え!?私は確かに手に握って…


「…指輪は!?」


「…あなた、さっきから何を言っているの?」


 あれ…?何かがおかしい。


「はい。これ着替えね。

 あなた花火大会にでも行こうとしていたの?

 ここら辺じゃまだみたいだけど…

 浴衣、血で汚れちゃったからって

 看護師さんが捨ててしまっていいかって。」



 どういうこと…?



「お母さん、今って大正時代だよね?」


「おかしな子だね。

 大正時代なんてもう随分と昔じゃない。」


 母親はけらけらと笑っている。


 ここは…


 それは不思議な感覚で


 失っていたものが自分の身体に入ってくるように


 記憶が蘇る。




「A、目が覚めたんだね。」


 声のする方を見ると、そこには祖母がいた。


「ばあちゃん!」


 私はふと、祖母に聞きたいことを思い出した。


「ねぇ、ばあちゃん!!

 私が幼い頃に聞かせてくれた庭のアヤメの話…

 あれなんだっけ!?」


 祖母は目を丸くして驚いた。


「どうしたの?急に。」


「いいから…教えて!」


 祖母は微笑んで話し出してくれた。


「あのアヤメはね、

 おばあちゃんの母方のご先祖様からの言い伝えなの。」


 私は唾を飲み込む。


「ご先祖様はね、花屋を経営していたんだって。

 仲の良い夫婦だったが、

 どうやらなかなか子に恵まれなくて…

 諦めかけていたそうだよ。

 でもね、近くに住んでいた一人の女性が

 ある時お守りをくれたんだって。」


 お守り…


「お守りをもらったその年のことだよ。

 ご先祖様は元気な子を授かったんだって。

 でも、お守りをくれた女性は

 夏頃に急に姿を消してしまったそうだよ。」




 ああ、そうだったのか…





 頬を熱いものが伝う。




 

244.庭のアヤメ→←242.一番近くで



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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - sayaさん» sayaさん、ご感想をありがとうございます!一気読み嬉しいです〜!勿体無いお言葉まで…感謝の気持ちでいっぱいです。。ぜひ、他の作品でもお待ちしておりますね!最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。 (10月20日 19時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
saya(プロフ) - はじめまして!キュンキュンしたり、切なくなったり、ホワホワしたり、で一気読みしてしまいました。とまりませんでした。このお話と出会えてよかったです。他の作品もこれから読まさせて頂きます!! (10月19日 23時) (レス) id: 7154e48ffe (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - もにょさん» もにょさん、最後までお読みいただき、そしてコメントをしてくださり、ありがとうございます!最高な作品だなんて…幸甚の至りです!またいつでもお越しくださいね。 (5月6日 8時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
もにょ - ハンカチがびっしゃびしゃになる程泣きました。甘く切なく幸せな夢をありがとうございました。最高な作品に出会えて幸せです。長編お疲れ様でした! (5月6日 4時) (レス) @page48 id: c62f6d1e54 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 桜月夜さん» 桜月夜さん、感想ありがとうございます!感動してくださるなんて光栄です!素敵なお言葉までありがとうございます(*˙˘˙*) (2021年11月19日 17時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年11月5日 19時

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