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204.訪問者 ページ4

あれからというもの、


 杏寿郎さんは私と距離を置いてくれているようだ。


 話こそするものの、深いことはお互いに話さない。


 はじめは、あのようなことを自分から言っておきながら


 寂しく感じていたが、時間というのは不思議なもので、


 次第にそれに慣れていく自分がいた。




 涙の梅雨を越え、


 太陽が身を焦がすような夏がやってきた。





「今日は一段と暑いですね。」


「本当だね。千寿郎くん、しっかり水分とってね。」


「はい!」



 太陽は空高く私たちを照らす。



 蝉の鳴き声がより暑さを感じさせていた。



「今夜は花火大会ですね。」




 花火大会の日か…。あれから1年が経ってしまったのか。



「…そうなんだ。しばらく花火はいいかな…。」



 私の言葉に千寿郎くんは目を落とした。



「千寿郎くんは…杏寿郎さんと見に行かないの?」



「ぼ、僕はいいんです!それに今日、


 兄上は任務があると要が言っていましたし!」



「…そっか。いつかまた、家族で見られるといいね!」
 


 私と千寿郎くんが台所で話をしていると、


 玄関の方から女性の声が聞こえた。



「ごめんください。」



 私は手を止めて、千寿郎くんに声をかける。



「私が行ってくるよ!」


 廊下に出て、玄関へと向かうと、


 見知らぬ女性が立っていた。



「はじめまして。突然お伺いして申し訳ございません。」


「はじめまして。えっと…?」


「あ、申し遅れました。


 私、小野寺かえ と申します。」


 "小野寺かえ"さん?


「炎柱様のお宅はこちらで間違いないでしょうか?」


「杏寿郎さんですか?

 炎柱邸はここではありませんが、

 何かご用件があればお伝えいたしますよ。

 おそらく、任務に行かれていて、

 炎柱邸も留守だと思うので…。」


 小野寺かえと名乗る女性はほっとしたような顔をする。


「あのう…失礼ですが、


 あなたは鬼殺隊の小野寺新太郎さんの奥様でしょうか?」


 私がそう尋ねると、彼女は目から涙をこぼして頷いた。


「…はい。」


「ここでは何ですから、どうぞお上がりください。」


 私はかえさんを居間へと通すと、


 千寿郎くんはお茶を用意して持ってきてくれた。


「どうぞ。僕はここで失礼しますね。」


「千寿郎くん、ありがとう。」


 かえさんはお茶を一口飲んで、語り始めた。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - sayaさん» sayaさん、ご感想をありがとうございます!一気読み嬉しいです〜!勿体無いお言葉まで…感謝の気持ちでいっぱいです。。ぜひ、他の作品でもお待ちしておりますね!最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。 (10月20日 19時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
saya(プロフ) - はじめまして!キュンキュンしたり、切なくなったり、ホワホワしたり、で一気読みしてしまいました。とまりませんでした。このお話と出会えてよかったです。他の作品もこれから読まさせて頂きます!! (10月19日 23時) (レス) id: 7154e48ffe (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - もにょさん» もにょさん、最後までお読みいただき、そしてコメントをしてくださり、ありがとうございます!最高な作品だなんて…幸甚の至りです!またいつでもお越しくださいね。 (5月6日 8時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
もにょ - ハンカチがびっしゃびしゃになる程泣きました。甘く切なく幸せな夢をありがとうございました。最高な作品に出会えて幸せです。長編お疲れ様でした! (5月6日 4時) (レス) @page48 id: c62f6d1e54 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 桜月夜さん» 桜月夜さん、感想ありがとうございます!感動してくださるなんて光栄です!素敵なお言葉までありがとうございます(*˙˘˙*) (2021年11月19日 17時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年11月5日 19時

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