君が思い出すまで4【煉獄杏寿郎】

191.言うことを聞きなさい ページ41

「…これでは杏寿郎さんが風邪を引いてしまいます。」


「構わない。」


「…い…やです。」



　私がそう言うと、鼻をつままれる。




「俺の言うことを聞きなさい。」




　さすがにもうそれ以上は言えなくて、

　
　私は黙って杏寿郎さんにされるがままになった。




「じきに雨は止むだろう。

　そうしたら、一緒に生家へと向かおう。」


「…はい。」


　次第に立っていることが辛くなってきて、

　私はしゃがみ込んでしまった。


「…辛いな。


　ちょっと待ってくれ。」


　杏寿郎さんはそう言うと、自身もしゃがみ込み、

　
　こちらに背を向けて私に呼びかける。


「ほら、乗るといい！」


「…え！？」


「この方が君は楽だろう？」


　これはつまり、おぶさるってこと！？


「えっと…」


　私がためらっていると、杏寿郎さんが口を開いた。


「A」


　身体が辛いのもあったので、私はおずおずと

　杏寿郎さんの背中に体重をあずけた。


「…ありがとうございます。」


「うむ。」




　あたたかくて、心地よくて、首元からは


　杏寿郎さんのいい匂いがする。




　しばらく待っていると、要が飛んできて、


　杏寿郎さんは千寿郎くんに湯浴みの準備をするように


　伝言を頼んでいた。


　

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