君が思い出すまで4【煉獄杏寿郎】

155.誕生日 ページ5

「兄上！

　お誕生日おめでとうございます！」



「うむ！ありがとな、千寿郎！」


　朝起きると、縁側の方から二人の声がした。


「特別な日でも鍛錬なさるのですね！

　さすがは兄上です。」


「鬼はいつ来るか分からないからな！

　それに、今日は暇をもらっているので、

　Aと出かけようと思う！

　昼間は鍛錬できないから朝のうちにと思ってな！」


　杏寿郎さんは縁側に腰掛け、汗を拭う。


「そうですか！楽しんできてください！」


「夕餉の前には一度戻ろうと思う。

　千寿郎がAと料理を振る舞ってくれると聞いた！

　楽しみにしている！」

　
　頭を撫でられた千寿郎くんはとても嬉しそうだった。



　杏寿郎さんが一度自室へと戻ったので、

　挨拶をしようと私は声をかける。


「杏寿郎さん、Aです。

　入ってもよろしいでしょうか？」


「うむ。」


　襖をあけると、彼は身支度を整えていた。

　私が部屋に入ると、準備を終えて向き合う形で座る。


「お誕生日おめでとうございます。」


「ありがとう。

　朝餉を終えたら出立しようと思う！」


「はい！急いで準備しますね！」


　杏寿郎さんはそっと私の右頬に手を添え、優しく微笑む。


「君といられることが何よりも幸せだ。」


　その言葉が素直に嬉しくて、嬉しくて、


　私は涙が出そうになる。







「今日はずっと一緒だ。」

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